頑張りたいのに頑張れない状態が続くとき、自分は甘えているだけではないかと不安になる人もいるかもしれません。しかし、無気力な状態が続くのは単なる甘えではなく、ほかに原因がある場合があります。病気が考えられる場合は、適切に対処しないと症状が悪化することもあります。
今回は、頑張りたいのに頑張れない原因や対処法、考えられる病気について解説します。
頑張りたいのに頑張れないのは甘え?
頑張りたい気持ちはあるものの、実際に行動に移せないことに悩むことはないでしょうか。特に、周りに目標や夢に向かって頑張る人たちがいると、頑張れない自分と比べて、余計に気持ちが落ち込んでしまうこともあるようです。なかには、「頑張りたいのに頑張れないのは甘えではないか……」と、過度に自分を責める人もいるかもしれません。
頑張りたいのに頑張れないといった無気力な状態が続くのは、心の休憩時間や頑張るための準備時間が必要なサインだと言われています。ここで無理をすると、心身に大きな負担がかかる場合もあります。何かしらの病気が隠れている場合は、無理をすることで症状が悪化することもあります。頑張りたいのに頑張れないときは、無理をせず安静に過ごすのが手段のひとつではあります。
頑張りたいのに頑張れないのはなぜ?主な7つの理由
頑張りたいのに頑張れない状態が続く理由には、次のようなことが考えられます。
- 心身共に疲れている
- 頑張る目的がわからない
- 頑張り方が分からない
- 頑張ることは我慢だと思っている
- 無自覚に頑張り過ぎている
- 失敗を恐れている
- 自分を過大評価している
それぞれの理由について詳しく解説します。
1.心身共に疲れている
頑張りたいのに頑張れない状態が続く理由として、心身が疲れていることが考えられます。頑張りたい気持ちが強くても心と体が疲弊していると、積極的に行動に移せなくなる場合があります。特に、心と体は相互作用が働くと言われています。たとえば、日常生活で過度なストレスを感じると、自律神経が乱れてしまい、体に不調をきたす場合があります。逆に、体の病気がその人の思考や気分に影響を与えることもあります。
また、無気力な状態が続くときは、何かしらの病気が隠れている場合があり、無理をすると症状が悪化するおそれもあります。頑張りたいのに頑張れないときの原因が心身の疲れである場合は、できる限り安静に過ごし、心と体の回復を待つのが良いかもしれません。
2.頑張る目的がわからない
頑張りたいのに頑張れない状態が続くのは、頑張る目的を見失っていることが考えられます。通常、私たちは目的達成のために頑張るとき、何かしらの形で努力が報われてほしいと考えて行動します。頑張る目的は人によって変わりますが、社会人の場合は給料や昇進、人事評価など、学生の場合はテストの成績や受験などが当てはまるかもしれません。
これらの頑張る目的を見失うと、「自分は何のために努力するのだろう?」と感じて、頑張りたいのに頑張れないといった状態に陥る場合があります。このような状態から抜け出すには、明確な目的を設定するのが良いでしょう。目的を設定して頑張る理由を作ることで、頑張りたいのに頑張れないといった状態から抜け出せる場合があります。
3.頑張り方が分からない
頑張りたいのに頑張れない理由として、頑張り方が分からないということが考えられます。目標達成に向けて頑張るなかで、ときにはやる気が失せることもあります。
しかし、やる気を失せて無気力な状態が長く続く人は、気持ちをうまく切り替えられていないことがあります。特に、頑張ることに不慣れで物事にのめり込みづらい人は、その傾向が強いと言われています。どれだけ頑張りたい気持ちが強くても、頑張り方がわからず、頑張ること自体を諦めてしまう人もいるようです。
4.頑張ることは我慢だと思っている
頑張りたいのに頑張れない理由には、頑張ることは耐えることだと思い込んでいることが挙げられます。日本では我慢が美徳とされる傾向にあり、「頑張る=我慢」と考える人もいるかもしれません。「頑張る」には、困難にめげることなく最後までやり抜くといった意味があります。目標達成に向けて行動するなかで、ときには我慢が必要になる場面もあるかもしれません。
しかし、「我慢することは当たり前」といった思考になると、どんなにつらい状況でも無意識に耐えることを選んでしまう場合があります。我慢することで過度なストレスが溜まり、頑張りたいのに頑張れないといった無気力な状態に陥っていることが考えられます。夢や目標のために頑張るのは素敵なことですが、我慢し続けると心身に支障をきたす場合があるので、注意しましょう。。
5.無自覚に頑張り過ぎている
普段から一生懸命に頑張る人が、突然やる気を失せることがあります。これは燃え尽き症候群と呼ばれる症状で、心身の極度の疲労により燃え尽きたように突然意欲を失ってしまいます。完璧主義や頑張り屋さんなど自分に厳しい性格の人が、燃え尽き症候群になりやすいと言われています。
無自覚に頑張り過ぎることで、知らず知らずのうちにストレスが蓄積されて心が限界を迎えてしまいます。。「無理をしてでも頑張らなくては……」と自分を奮い立たせますが、心は限界を迎えているため、頑張りたいのに頑張れない状態になる場合があります。自分に厳しい人は決めたことを最後までやり抜く力がありますが、視野を狭めてしまうこともあるため、状況に応じて修正や変更をするなど、柔軟に対応できると気持ちが楽になるかもしれません。
6.失敗を恐れている
頑張りたいのに頑張れないときの理由には、失敗を恐れていることも考えられます。何事も努力すれば良い結果が得られるとは限らず、頑張っても失敗に終わる場合もあります。頑張りたいのに頑張れない人は、失敗の可能性を考えるなかでもネガティブな感情が強くなり、積極的に行動できなくなることがあります。
過去に失敗を責められた経験があったり完璧を求め過ぎたりする人は、失敗を過度に恐れる傾向があります。なかには、新しいことに挑戦するときに、あえて頑張らない理由を作る人もいるようです。頑張らない理由を作ることで、失敗したときに「本気出してないから」という言い訳にすることができ、失敗の予防線にすることができるからです。
7.自分を過大評価している
頑張りたいのに頑張れない理由として、自分を過大評価していることが考えられます。自分を過大評価している人は、努力した成果が努力に見合うものであったとしても、「自分なら本当はもっと良い結果を得られたはず」と考えるようです。努力しても自分が求める成果を得られないとわかると、突然やる気を失うことがあります。
頑張れないときに考えられる病気の可能性
頑張りたいのに頑張れないときは、何かしらの病気が隠れている場合があります。考えられる病気には、次のようなものが挙げられます。
- うつ病
- 更年期障害
- 適応障害
- 自律神経失調症
- 慢性疲労症候群
それぞれの病気について詳しく解説します。
うつ病
うつ病は、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身に不調が現れる病気です。うつ病になると気持ちが沈み、以前は楽しめていた活動が楽しいと思えなくなることがあります。うつ病になる原因は定かではありませんが、遺伝や大切なものを失う喪失体験、ストレスが関係していると言われています。
【うつ病の症状】
うつ病になるとさまざまな症状が出ますが、ほとんどのケースで「早く目がさめる」「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」といった睡眠障害が出現すると言われています。睡眠の質が悪くなるため、熟睡感を得られず、朝起きたときの倦怠感や疲労感の蓄積につながる場合もあるようです。浅い眠りが続くと、昼夜逆転の生活になることもあります。
【うつ病の治療】
うつ病の治療には、休養・薬物療法・精神療法が有効だと言われています。休養は、うつ病患者の心と体を休ませる治療法です。症状が強い場合は、休職するなど休養に専念して症状の改善を図ることがあります。「眠れない」といった身体的な症状が伴う場合は薬物療法を用いることもあります。また、再発防止の目的で認知行動療法や対人関係療法などの精神療法をおこなうことがあります。
更年期障害
男女ともに40歳を過ぎた頃から、体調不良や情緒不安定などの症状が現れると言われています。そのなかでも、日常生活に支障をきたすほど重い症状が出る状態が更年期障害にあたります。女性は、女性ホルモンであるエストロゲン(卵巣ホルモン)の分泌が急激に減少することで更年期障害の症状が現れるようです。
男性は、男性ホルモンであるテストステロン(睾丸ホルモン)の分泌が減少し始める、40歳代後半から徐々に症状が現れると言われています。男性の場合、女性に比べると分泌量の変化が緩やかなので、老化現象と認識されて病気に気づかれないことがあるようです。
【更年期障害の症状】
身体的症状として、女性は、動悸や息切れ、異常な発汗、耳鳴りなどが多く見られます。閉経後には、膀胱炎や腰や膝の関節痛などの症状が現れることがあるようです。男性は、勃起障害や性欲低下が見られることがあります。精神的症状としては、興奮亢進、イライラや不安感、うつなどの症状が現れるようです。
【更年期障害の治療】
生活習慣の改善や心理療法、予防的な意味合いの食事療法をおこないます。これらの治療で症状に改善が見られない場合、薬物治療で改善を試みることがあるようです。ただし、初期症状は寝つきが悪いなど曖昧で自覚症状がないケースもあります。しかし、体調が優れない日が続くため、そんな自分への不満や苛立ちがストレスとなり、精神的症状を悪化させる場合があります。
適応障害
適応障害は、仕事や人間関係などストレスが原因となり、心身のバランスを崩して社会生活に支障をきたす障害です。適応障害を抱える人は、ストレス耐性が低い性格的要素があると言われています。過度なストレスを抱えると、うつ病など別の病気を発症させる場合もあるようです。
ただし、適応障害は周囲から本人の性格の問題と片付けられてしまい、治療につながらないケースもあるようです。しかし、適応障害は発症する原因が明確であり、その原因から離れることで次第に症状が改善すると言われています。症状を悪化させたり別の病気を発症させたりしないためには、医療機関で適切に治療するのが良いかもしれません。
【適応障害の症状】
適応障害で起こる症状はさまざまですが、精神的症状と身体的症状が現れます。精神的症状として、気分の落ち込みや不安感、意欲や集中力の低下などが見られるようです。身体的症状は、不眠や食欲の低下、吐き気などが見られる場合があります。これらの症状は誰にでも起こり得ますが、適応障害を抱える人は症状が強く現れる傾向にあります。
【適応障害の治療】
適応障害は発症する原因が明確であり、その原因から離れることで次第に症状が改善すると言われています。更年期障害の治療では原因となるストレスを軽減し、症状の改善を図るようです。また、更年期障害の症状を悪化させないために、本人の適応力を高める治療をおこなう場合があります。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、過剰なストレスで自律神経が機能せずに引き起こされる症状のことです。通常、自律神経である交感神経と副交感神経でバランスを取りながら体の状態を調整しています。交感神経は体の機能を活発化させ、副交感神経は体を休める役割があります。しかし、過剰なストレスで交感神経と副交感神経が乱れると、自律神経失調症を発症する場合があります。
自律神経失調症になる原因は、生活習慣の乱れや女性ホルモンも影響しているようです。慢性的な寝不足や不規則な生活など生活習慣の乱れは、体内時計を狂わせ、自律神経のバランスが崩れる原因になる場合があります。また、自律神経失調症は女性の発症率が高いと言われており、その原因にはバランスを崩しやすい女性ホルモンが影響しているようです。
【自律神経失調症の症状】
自律神経失調症を発症すると、精神的症状と身体的症状が現れます。精神的症状として、イライラや不安感、情緒不安定などの症状が現れるようです。身体的症状は、不眠や頭痛、動悸や息切れなど多岐にわたります。また、自律神経失調症は、睡眠を調節する仕組みに影響を与える場合があります。
【自律神経失調症の治療】
主な治療法には、ストレス発散や睡眠の周期を整える行動療法、生活習慣の改善などがあります。これらの治療をおこなうことで、自律神経失調症の症状が徐々に緩和されるようです。症状がひどいときは、薬物療法がおこなわれる場合もあります。ストレス耐性を高めるために、認知行動療法や自律訓練法など心理療法がおこなわれるケースもあるようです。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群とは、身体診察や臨床検査で異常が見られない状況で、日常生活を送れないほどの疲労感が長期間続く状態のことです。若年層や中年層の女性が発症しやすい病気と言われていますが、小児を含む年代の人でも認められたケースがあります。慢性疲労症候群の症状が重度になると、起きられず寝たきりの状態になる場合もあるようです。
慢性疲労症候群の原因は明らかではありませんが、遺伝的素因や身体的・精神的要因など、複数の要因が関係しているようです。また、慢性疲労症候群を発症した患者の半数以上がアレルギーの既往歴を報告しており、免疫学的異常が原因である場合もあると考えられています。
【慢性疲労症候群の症状】
慢性疲労症候群の主な症状は、疲労と言われています。朝起きたときからひどい疲労を感じ、その状態が1日中続く場合があるようです。発症前は問題なく生活を遅れていたにもかかわらず、ストレスを感じる出来事が起こると突然発症する場合があります。症状は、疲労以外にも不眠や関節痛、腹痛、集中力の低下などが見られるようです。
【慢性疲労症候群の治療】
慢性疲労症候群の治療には、認知行動療法や段階的運動、薬物治療があります。認知行動療法は、考え方や行動を少しずつ変えて回復を目指す心理療法で、段階的運動は有酸素運動で疲労感を改善して身体機能を高める治療法です。抑うつや不眠などの症状が見られる場合は、薬物治療をおこなう場合もあります。
頑張りたいのに頑張れないときの対処法
頑張りたいのに頑張れないときに試したい対処法には、次のようなものが挙げられます。
- 目標を立てる
- 頑張った先を想像してみる
- スモールステップを意識する
- 生活習慣を整える
- 誰かに相談する
それぞれの対処法について詳しく解説します。
目標を立てる
頑張りたいのに頑張れないときは、目標を立てるのが有効な手段のひとつです。努力しないと達成できないような大きな目標を立てる必要はなく、少し頑張れば達成できる小さい目標を立てることで十分だと言われています。たとえば、いつもより10分早く起きたり、毎日5分だけ部屋の掃除をしたりなどが挙げられます。初めから大きな目標を立てると、失敗したときに落ち込むおそれがあります。
確実に達成できる小さな目標を立てることで、成功体験を積み上げられるうえに、達成感を得られて自信をつけられると言われています。また、目標があることで日々のモチベーションも維持しやすくなり、頑張りたいのに頑張れないといった状態から抜け出せるかもしれません。今自分が目指している目標がある場合は、一度見直してみるのもよいかもしれません。
頑張った先を想像してみる
頑張りたいのに頑張れない場合は、努力して達成した先に得られるものを想像してみましょう。目標を達成する途中で自分の思い通りに物事が進まず、つらい時期を過ごすこともあるかもしれません。しかし、努力して達成した先に得られるものを想像することで、モチベーションの維持につながる場合があります。
ただし、無理をして頑張り過ぎると、心身が疲弊することもあるかもしれません。心身には相互作用があり、心が疲弊すると身体機能に影響を与える場合があります。心と体を疲弊させないためにも適度に休みを取りながら、取り組みましょう。また、努力したあとに自分へのご褒美を用意するなど、楽しみながら頑張れる工夫をするのもおすすめです。
スモールステップを意識する
頑張りたいのに頑張れない時は、スモールステップを意識するのもひとつの方法です。スモールステップとは、目標を細分化して着実に達成できるものから取り組む手法を指します。細分化された目標は難易度が下がるため、失敗する回数を減らせるようです。結果的に成功体験が増えるため、モチベーションを維持しやすくなります。
大きな目標を設定している場合、今の自分では達成するのが難しいと感じたり圧倒されたりしてしまうことがあります。目標が自分では乗り越えられない高い壁に感じると、頑張りたいのに頑張れないといった状況に陥ることがあります。大きな目標を立てた場合は、スモールステップを意識するのが良いかもしれません。
生活習慣を整える
頑張りたいのに頑張れないときは、生活習慣を整えると良いかもしれません。健康的な生活を送ることにより、エネルギーを高められ、頑張りたいことに集中できる場合があります。特に、睡眠は疲れた体をリラックスさせ、疲労を回復させる効果があると言われています。
生活リズムが崩れて慢性的な睡眠不足に陥ると、自律神経の乱れにつながることがあります。自律神経の乱れは病気につながる場合もあるため、生活習慣を整えて質の高い睡眠をとることが求められます。生活習慣を整えるには、睡眠以外にも適度な運動を取り入れたり、お酒の飲み過ぎには注意したりするのが良いと言われています。
誰かに相談する
頑張りたいのに頑張れないときは、信頼できる家族や友人などに相談するのも良いでしょう。無理をして頑張ると体調を崩してしまい、回復が遅れてしまう場合もあります。人に話すことで気持ちが楽になり、少しずつでも回復に向かうかもしれません。つらい気持ちを一人で抱え込まないためにも、人に相談して心を解放してあげるのもひとつの選択です。
しかし、自分の悩みを相談して、家族や友人を不安にさせたくないと考える人もいるでしょう。このような場合は、カウンセリングを利用するのも有効です。カウンセラーとの対話を通して、自分の気持ちを整理できる場合があります。また、第三者だからこそ本音で話せることもあるため、自分と向き合える良い機会になるかもしれません。
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頑張りたいのに頑張れないときは、自分の甘えなのではないかと悩む人もいるようです。しかし、無気力な状態が続くのは、心の休憩時間や頑張るための準備時間が必要なサインかもしれません。また、無気力な状態が続くときは、うつ病や適応障害、自律神経失調症などの病気が隠れている場合もあるため、甘えだと自分で結論付けず正しく対処することが求められます。
無気力な状態から抜け出すための対処法には、目標を立てたり生活習慣を整えたりする方法があります。一人でつらい気持ちを抱えている場合は、信頼できる家族や友人に話して心を解放させてあげるのも有効と言われています。しかし、家族や友人に相談して不安や心配をかけたくないと考える人もいるかもしれません。
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