子どもの意志を尊重せずに親の考えを子どもに強要するのが、過干渉な親といえます。親が過干渉である場合、子どもには、主体性がない・無気力になるなどの傾向があると言われ、過干渉な親による子どもへの影響は大きいようです。
この記事では、過干渉の意味や過干渉な親への対処方法について紹介します。
過干渉とは
過干渉の意味は、相手に干渉しすぎることです。過保護は過干渉と言葉が似ていますが、意味は異なります。過保護は、相手を過度に保護することを指します。
過干渉と過保護の主な違いは、過干渉は相手を自分の思うようにコントロールする特徴がある一方、過保護は相手の意志や要望を受け入れた上で保護をする点です。主に親子関係で過干渉・過保護が発生しやすく、親が子どもに対して過干渉・過保護になる傾向があります。
本章では、過干渉の意味と、過干渉と過保護の違いについて詳しく説明します。
過干渉の意味
過干渉とは、相手に干渉しすぎることです。相手を自分の思うようにコントロールする、相手の行動を制限するなどを指します。一般的に親子間の過干渉では、親の理想を子どもに押し付けるのが特徴として挙げられます。
過干渉の親は、子どもの意志とは関係なく、親の考えややり方を子どもに強要します。親は「こうすれば子どもは幸せになる」との思い込みを強く持っており、子どもの意志を無視してでも自分のやり方を押し付けてしまいます。
また、子どもの失敗が親自身への評価に悪影響を及ばすと考えている場合、親自身のプライドや評価を高めたい理由で、過干渉になることもあります。
過保護との違い
過干渉と過保護の違いは、相手の意志を尊重しているかどうかです。過干渉は、相手の意志とは関係なく自分の考えや理想を押し付ける特徴があります。一方過保護は、相手の意志を尊重した上で過度に保護してしまうのが特徴です。
親が子どもに対して過保護である場合は、子どものしたいことやしたくないことをそのまま受け入れ、親は子どものサポートをします。子どもの要求に無理がある・しつけ上悪いと思っていても、親は子どもの要求通りに行動するのが特徴です。
過干渉・過保護両方とも、子どもの自立性に支障を及ぼすという見解があります。一方で、過保護の場合は子どもが「親が自分のことを大切にしてくれている」と感じられ、自立性が育つともいわれます。
過干渉な親の特徴
過干渉な親の特徴として、以下の4つがあると言われています。
- 子どもの話を遮る
- 子どもの意見を尊重しない
- 子どもを褒めない
- 子どもの人間関係・進路を決める
いずれの場合も、子どもの意志を尊重した行動ではありません。子ども自身のためではなく、親が子どもをコントロールしたいとの思いから出る行動と言えます。本章では、それぞれの特徴を詳しく説明します。
子どもの話を遮る
過干渉な親の特徴の1つ目は、親が子どもの話を遮ることです。子どもの話を途中で止め、親が話し出してしまいます。学校の先生や友人を交えて話す際に、子どもに対しての質問に親が代わりに答えるのは、過干渉な親にみられる傾向です。
口数が少ない子どもの場合、子どもが話し出す前に親が話し出してしまい、子どもの意見が通らないこともあります。子どもが意見を言おうとしても、親は子どもの意見を最後まで聞かず、親の主張を子どもに押し付けてしまいます。
子どもの意見を尊重しない
過干渉な親の特徴の2つ目は、親が子どもの意見を尊重しないことです。過干渉な親は、親自身の考えが子どもにとって最善で、子どもの意見は間違っているという先入観がある場合も多く、子どもを親の言う通りにさせようとしてしまいます。
年齢によっては子どもはまだ判断力が十分でないこともあるため、親が子どもにアドバイスするのは自然なことです。しかし、子どもの意見を無視して親の考えを押し付けてしまうのは、過干渉な親の特徴と言えます。
また、子どもの意見が親の意見と異なる場合、親が不機嫌になったり、子どもを否定する言動をとったりしてしまうこともあります。
子どもを褒めない
過干渉な親の特徴の3つ目は、親が子どもを褒めないことです。子どもがなにかを成し遂げたときも、「もっとこうすれば良かった」「前はもっとできていたのに」というように、褒めずに指摘してしまう傾向があります。
子どもにとっては、頑張った結果が出たり、賞を取るほどよい結果であったりした場合でも、親の基準を満たしていなければ褒めることができません。
たとえば、テストで90点を取ったり、リレーで2位に入賞したりなどの場合では、「あと10点で満点だったのに」や「もっと練習すれば1位だったのに」という指摘をする場合もあるようです。
子どもの人間関係・進路を決める
過干渉な親の特徴の4つ目は、親が子どもの人間関係・進路を決めることです。子どもが仲良くしている友人であっても、「あの子とは遊んではいけない」と言って子どもの交友関係を断とうとするケースがあります。
また、子どもが選んだ高校や大学なども、「その学校よりもこちらの学校にしなさい」と、親の意向で子どもの進路を決めてしまうこともあります。
過干渉な親は、子どもの友人が自分の子どもの成績や性格に影響すると考えてしまいます。そのため、マナーがある子や成績がよい子と仲良くなるよう指示し、子ども自身の希望を尊重することができません。
子どもの進路についても、親が理想とする子どもの将来像があるため、親の理想通りの道を歩ませようとしてしまいます。
親が過干渉になる理由
親が子どもに過干渉になってしまう理由には、以下があります。
- 親が子離れできていない
- 親自身にコンプレックスがある
- 親が子どもにしか生きがいを感じない
親が子離れできていないのは、子どもが成長したあとでも、小さい子どもと同じようにあらゆる面でサポートが必要だと思い込んでしまうのが原因です。
子どもが成長して自分の意志で物事を決められるようになっても、「親がサポートしなければ子どもは失敗する」と決めつけてしまいます。
また、親自身にコンプレックスがあると、「子どもは自分のようになってほしくない」という思いから過干渉になる傾向があります。
親のコンプレックスを子どもを通して解消したいと考えてしまうのが、過干渉の要因の1つです。子どもを親の理想通りの人物に育てようと、過干渉になってしまいます。
また、親が子どもにしか生きがいを感じなくなってしまうと、親の意識が子どもに集中してしまいます。はじめは適度に干渉する程度だった親も、子どもと集中的にかかわるうちに過干渉となるケースがあります。
過干渉がもたらす影響とは?過干渉な親に育てられた子どもの特徴
過干渉は、子どもの性格や考え方に影響をもたらす要因となります。親が過干渉の環境下で育った子どもには、以下のような特徴があります。
- 自分に自信が持てなくなる
- 無気力になる
- 主体性がなくなる
- 人間関係を築くのが苦手になる
上記のような特徴を持ってしまうのは、自分の意志を尊重されなかった、褒められなかったなどが原因となる傾向があります。本章では、それぞれの特徴について詳しく説明します。
自分に自信が持てなくなる
親の過干渉により自分の意見を否定され、褒められなかった経験があると、子どもが自分に自信を持てなくなることがあります。自分の意見を否定されたり褒められなかったりした子どもは、「また間違ってしまうのではないか」「自分はダメな人間だ」と考えることで不安に襲われます。
子どもがなにかを始めるときに、自分のやり方が間違っていないかどうかを常に他人に確認することも、親の過干渉による影響と考えられます。
また、自信が持てないことで失敗することを過剰に恐れ、新しいことにチャレンジできなくなります。褒められた経験が少ないため、どうすれば褒められるかという基準で物事を捉えてしまい、失敗しないような簡単なことや安全なことにしか向き合えなくなる傾向があります。
無気力になる
子どもが無気力でなにに対してもやる気が出ないことも、親の過干渉が子どもに与える影響です。親の過干渉により子どもの意見が否定され、親の指示通りにしか行動できない状況が続くと、子どもは次第に自分で考えることを止めてしまいます。
子どもは自分で考えたことややろうとしたことを親に否定されると、「自分の人生を親に決められてしまう」と思い、やる気を失くしてしまいます。
主体性がなくなる
親の過干渉で子どもの行動を決めてしまうことで、主体性がなくなることが考えられます。子どもは親が決めたことしか実行できない状況が続くと、自分でなにかを決める自己決定力が低下し、常に指示を求めるようになります。
小さい子どもから学生の間までは、自己決定力がなくても生活にそれほど支障はないかもしれません。
しかし、子どものうちから親の指示に従うのが当たり前になると、大人になっても他人からの指示がないと行動できなくなります。そのため、社会人となり自分で考えて仕事をするよう求められると、なにをすべきかわからずに仕事に支障をきたしてしまう可能性があります。
人間関係を築くのが苦手になる
子どもが他人との人間関係をうまく築けない点も、親の過干渉による影響があると考えられています。親の過干渉によって親子の信頼関係を築けなかった子どもは、他人のことも信用できなくなる可能性があります。
子どもは家族とのコミュニケーションを通して、他人との適切なコミュニケーションを学びます。しかし、親の過干渉によって子どもの意見が否定されたり親の言う通りにしか行動できなかったりしたことが続くと、適切なコミュニケーションを学ぶ場面が少なくなってしまいます。
そのため、子どもは他人に自分の意見を伝えたり、他人の気持ちを理解したりすることが難しいと感じるようになる場合があります。
過干渉な親への5つの対処法
親の過干渉への対処法として、以下の5つが挙げられます。
- 親との距離をとる
- 親子間でルールを決める
- はっきりと自分の意見を述べる
- 全て受け止めずに聞き流す
- 心の専門的を頼る
親の子どもに対する過干渉な言動は、放っておいてもなくなる可能性は低いです。そのため、自分の親が過干渉かもしれないと思ったときは、子ども自身が親にアクションを起こすこともひとつの手段です。
本章では、それぞれの対処法について詳しく説明します。
1.親との距離をとる
親と物理的に離れることで、親からの過干渉な言動から逃れられる可能性があります。お互い顔を合わせないことで、親が子どもに直接口を出しにくい状況にできます。
親と同居している場合は、一人暮らしをするのもおすすめです。年齢や引っ越し費用の問題で一人暮らしができない場合は、祖父母や親戚、友人の家に数日泊めてもらったり、学校の寮に入るなどの方法もあります。
毎日一緒にいると親の意識が子どもに集中するため、過干渉な言動に陥りやすい場合もあります。そのため、物理的に距離をとることで子どもへの意識を遠ざけられることが期待でき、離れて暮らすとお互いのことを冷静に考えられ、親子の関係を見直す機会になるかもしれません。
2.親子間でルールを決める
あらかじめ親子間でルールを決めておくと、物事を決める際に親の主観が入るのを防げる場合もあります。子どもが親から理不尽な指摘をされた場合、「ルールではこうなっている」と主張できるため、親の要求を断る理由になります。
過干渉な親は、そのときの気分や機嫌で物事を判断してしまうこともあり、基準があいまいな傾向にあります。
たとえば、同じ時間に帰った場合でも、なにも言われない日と「遅い」と指摘されてしまう日があったります。
あらかじめ門限というルールを決めておけば、その日の気分や機嫌で「遅い」と指摘されても、「ルールではこうなっている」と主張することも可能です。
3.はっきりと自分の意見を述べる
子どもは親に対して、自分の意見をはっきり伝えることも大切です。親の意見が間違っている場合や自分はしたくないと感じることがあれば、勇気を出して断ることも選択肢のひとつです
親の要求を拒むことに罪悪感や恐怖感がある場合は、できる範囲で少しずつ自分の主張を伝えることが大切です。
子どもが親の要求を断らないでいると、親はますます自分の考えが正しいと思い、過干渉な言動がエスカレートしてしまう場合もあります。
4.全て受け止めずに聞き流す
過干渉な親からの発言を全て受け止めず聞き流すことで、子ども自身のストレスが緩和されます。親からの否定的な言葉や、子どもの意志を無視した指示に対しては、否定も肯定もせず聞き流すことでその場を収めることができるかもしれません。
親から批判されたり理不尽なことを言われたりしたときは、反発したくなるかもしれません。しかし、過干渉な親は自分の意見が子どもにとって最善だと考えてしまうため、子どもから反発されると悲しんだり、激昂してしまう可能性もあります。
また、言い返すことで親はますます支配的な態度をとってしまうこともあります。親に反発した結果、激しい親子げんかに発展することもあるため、子どもが冷静になり、全てを受け止めず聞き流すのも手段のひとつです。
5.心の専門家を頼る
親の過干渉がつらい場合は、心の専門家に相談するのもおすすめです。客観的かつ専門的な視点で見てもらえば、適切な対処方法を知るきっかけになります。
親の過干渉に悩む子どもの場合、そもそも親が過干渉であると気付くのが難しい場合があります。一般的な親子関係がどのようなものかわからない場合があるため、親から干渉され過ぎていても異常だとは気が付かないことも少なくありません。
学校のスクールカウンセラーや自治体の相談窓口、心療内科やオンラインのカウンセリングサービスなどで相談することも可能です。親に干渉されていると自覚がなくても、心がモヤモヤする、なんとなくやる気が出ないといった場合は、一度相談してみるのがおすすめです。
親の過干渉は誰かに相談してみよう!
親の過干渉は、親自身の考えややり方が子どもにとって最善であると思い込んでしまい、子どもを親の思うようにコントロールしようとしてしまいます。子どもの意志を尊重せず、子どもがしたくないと言っても、親の意見を押し付けてしまうのが特徴です。
親が過干渉な環境下で育った子どもは、無気力になる、主体性がなくなるなどの傾向があり、人間関係がうまくいかないことや社会生活で苦労するなどのケースも考えられます。
親が過干渉の場合は、なるべく距離を置く、親の意見を受け流すなどの対処法があり、ストレスをため過ぎないことが大切です。
自分の親が過干渉かもしれない、過干渉ではないが親との関係に悩んでいる場合は、心の専門家であるカウンセラーに相談するのもおすすめです。専門的な視点から話を聞いてもらうことで、親とのかかわり方を知るきっかけになるかもしれません。
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