職場で、上司や先輩に怒られるのが怖いと感じる場合があります。その原因としては、これまでの体験や自信のなさが考えられます。克服するためには、怒られたときの捉え方を変えることがポイントとなります。
この記事では、怒られるのが怖いと思う原因や克服する方法とそのポイント、怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときに考えられる可能性について解説します。
怒られるのが怖いと思う原因とは
怒られるのが怖いと思う原因には、以下のものが挙げられます。
- トラウマがある
- 攻撃されていると感じる
- 自分を否定されたように感じてしまう
- 他人からの評価が気になる
- 相手との関係が悪化すると思ってしまう
どの原因も、これまでの体験や自信のなさから起こっています。ここでは、怒られるのが怖いと思うそれぞれの原因について解説します。
トラウマがある
怒られるのが怖いと思う原因には、トラウマがあることが挙げられます。子どもの頃、家族や身近な大人から必要以上に怒られた経験がある場合、その経験から「怒られること」が嫌な思いとして残ってしまいます。
特に、大人の体格や声量、声色は、子どもにとっては威圧感を感じやすいため、怒られた経験がトラウマとして残ってしまうのです。怒られた経験がトラウマとして残った場合、大人になっても先輩や上司から注意されたときに必要以上に反応してしまうケースがあります。
攻撃されていると感じる
「攻撃されている」と感じることも、怒られるのが怖いと思う原因のひとつです。必要以上に意味を深く捉えてしまう場合に見られる傾向です。、怒られている原因が、自分のミスであってもそうでなくても、相手から攻撃されていると感じてしまうことがあります。
職場で急に「早くしろ!」と大きな声で言われた場合、なぜ大きな声で言われたのかがわからず、攻撃されているように感じるでしょう。しかし、理由を探れば「相手に時間がなく、焦っていただけ」というケースもあります。
このように、理由がわかれば「自分が攻撃されているわけではない」ことがわかります。相手の状況や気持ちを把握できていない状態で怒られた場合、自分が攻撃されていると感じてしまうのです。
自分を否定されたように感じてしまう
自分を否定されたように感じてしまうことも、怒られるのが怖いと思う原因のひとつです。怒られる対象は、ミスや失念といった「行為」に対してのケースがほとんどです。しかし、怒られた際に、行為ではなく「自分の人格」が否定されたように感じてしまうケースがあります。
これは、これまで褒められた経験や成功体験が少ない人に見られる傾向です。自分に自信がなく、自己肯定感が低いことにより、怒られた際に自分の人格を否定されたと感じてしまうのです。
他人からの評価が気になる
怒られるのが怖いと思う原因には、他人からの評価が気になることも挙げられます。人は誰しも、周りの人から見捨てられたり嫌われたりすることを恐れています。怒られること自体は必ずしも悪いわけではありません。しかし「怒られること自体が悪い」と認識している場合、怒られることで周囲から「ダメな人」と認識されると思ってしまいます。
怒られた結果「ダメな人」と認識され、相手や周囲から見捨てられたり嫌われたりすると思うことで、恐怖を感じることがあります。
相手との関係が悪化すると思ってしまう
相手との関係が悪化すると思ってしまうことも、怒られるのが怖いと思う原因です。人は、信頼関係を構築できていない相手から怒られた場合、その相手に対してネガティブな感情を持ってしまいます。怒られた後、その相手に話しかけづらいと感じた経験もあるでしょう。
これは、相手に対し無意識に「心の壁」を作ってしまうことが原因です。相手をさらに怒らせ、相手との関係が悪くなるのを恐れた結果、怒られることに恐怖を感じてしまうのです。
怒られるのが怖いのを克服する方法
怒られるのが怖いのを克服するには、以下の方法が挙げられます。
- 怒られたことをポジティブに捉える
- 自己肯定感を高める
- 成功体験を増やす
- 怒られても前向きな人の様子を観察する
どの方法も、怒られたときの捉え方を変えることがポイントです。ここでは、怒られるのが怖いのを克服するそれぞれの方法について解説します。
怒られたことをポジティブに捉える
怒られるのが怖いのを克服する方法として、怒られたことをポジティブに捉えることが挙げられます。自分に余裕がない場合、必要以上に感情的になってしまいます。自分は「怒られることに恐怖を感じる人」と認識するだけでも、怒られたときの感情は変わってくるでしょう。
怒られたからといって、自分を否定する必要はありません。誰でも、人から大きな声で怒られたり、失敗を追及されたりするのは嫌なものです。怒られることをポジティブに捉えるだけでも、感情は変わります。
例えば、なんらかのミスが原因で怒られた場合、相手が怒っているのは「今後、自分がミスを繰り返さないようにアドバイスしてくれているから」と考えることもできます。怒られたときこそ自分が成長できる機会と捉え、そのためにはどうすればいいのかを考えるだけでも、ポジティブな気持ちになれる場合があります。
また、時には身に覚えのないミスや、理不尽な理由で怒られるケースもあります。その場合は「怒っている相手のストレス発散に付き合ってあげている」と考えることで捉え方が変わります。怒られたことを、過剰に深刻に捉えないことが大切です。
自己肯定感を高める
自己肯定感を高めることも、怒られるのが怖いのを克服する方法です。自己肯定感とは、ありのままの自分を認め、肯定する気持ちです。怒られたときに恐怖を感じる人は、自分自身に否定的で、自己肯定感が低い場合があります。
前述したように、怒られたからといって自分を否定する必要はありません。怒られたことだけを考えるのではなく「自分は頑張った!」と自分を認めてあげれば、気持ちは楽になるはずです。
頑張った自分を認めてあげれば、怒られている内容にフォーカスできます。内容にフォーカスできれば「自分は次から何をすればいいのか」という「次の行動」に向けて動けます。
自己肯定感を高めることにより、怒られている自分も素直に受け入れられることにつながります。
成功体験を増やす
成功体験を増やすことも、怒られるのが怖いのを克服する方法のひとつです。怒られることに対して恐怖を感じる原因のひとつに「成功体験の少なさ」が挙げられます。成功体験が少なければ、自分の行動に自信が持てず、怒られたときにネガティブな感情を抱いてしまいます。
成功体験を増やして自信をつければ、怒られた場合でもネガティブな感情にならず、相手の言葉を受け入れられるでしょう。自信を持つための成功体験は、大きなものである必要はありません。
「決めたことを継続している」「期限内に終わらせた」といった小さな成功体験でも自信になるはずです。小さな成功体験を積み重ねることが、自信につながります。
怒られても前向きな人の様子を観察する
怒られるのが怖いのを克服する方法として、怒られても前向きな人の様子を観察することも挙げられます。周囲には、怒られても前向きに振る舞っている人や怒られること自体に恐怖を感じていない人がいるのではないでしょうか。
怒られても前向きな人は、自分なりに怒られたことをポジティブに捉える方法を知っています。その人の様子を観察して考え方を知るだけでも、参考になるはずです。
自分だけでは解決できない場合は、怒られても前向きな人のやり方を真似することからはじめるのも良いでしょう。
仕事で怒られたときに知っておきたい3つのポイント
仕事で怒られたときに知っておきたいポイントは、以下の3つです。
- 怒られている内容にフォーカスする
- 同じ失敗を繰り返さないという目標を持つ
- 成長する機会と考える
怒られた事象ではなく、内容に目を向けることが大切です。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
1.怒られている内容にフォーカスする
仕事で怒られたときに知っておきたいポイントとして挙げられるのは、怒られている内容にフォーカスすることです。相手が怒った際に、怒る対象となった事象に関係ない言葉を投げかけられる場合があります。
例えば、「遅刻したの!あなたダメね!」と言われたとしましょう。
言われた言葉の「あなたダメね!」の部分に注目してしまった結果、ネガティブな感情を持ってしまうことがあります。この場合、相手が怒っている事象は「遅刻したこと」です。「あなた自体がダメ」というわけではありません。
怒る対象となった事象以外のネガティブな言葉を鵜呑みにしてしまうと、自分を責めてしまいがちです。感情をコントロールするためにも、怒られた際は怒られている内容だけにフォーカスすることが大切です。
2.同じ失敗を繰り返さないという目標を持つ
2つ目のポイントは、同じ失敗を繰り返さないという目標を持つことです。怒られたからには、なにかしらの理由が存在します。気持ちを切り替えることも大切ですが、今後失敗を繰り返さないことが、怒られないことにつながります。そのためには、怒られた理由を理解し、その原因を把握しましょう。失敗の原因を把握すれば、失敗防止につながるはずです。
自分の失敗を受け入れ、同じ失敗を繰り返さないように目標設定することが大切です。
3.成長する機会と考える
3つ目のポイントは、成長する機会と考えることです。怒られるのが怖いと感じる人は、怒ってきた相手に対して「自分に腹を立てている」とネガティブな感情を持ってしまいます。
しかし、前述したように、怒ってきた相手は、あなたに成長してもらうために怒っていると捉えられる場合もあります。自分のために怒ってくれていると捉えれば、怒られるのはポジティブなことと考えられることもあるかもしれません。
怒られることは、自分では気付かなかった部分を直し、以前よりレベルアップできる機会でもあります。仮に自分が失敗していたにもかかわらず怒られなかった場合、失敗に気付くことができず、後になって大きな失敗になるかもしれません。
しかし、怒ってもらえれば自分では気付かなかった失敗に気付けるため、成長につながったり、後々の大きな失敗も防げます。このように、怒られたことを前向きに捉え、自分が成長する機会と考えることが大切です。
怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときに考えられる可能性
怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときは、心の病気や発達障害を抱えている可能性も考えられます。ここでは、心の病気と発達障害について解説します。
心の病気
怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときには、心の病気を抱えている可能性があります。怒られるのが怖いと思う気持ちは、多少なりとも誰もが持っているでしょう。しかし、その程度が強い場合、気分が落ち込んだり恐怖感を持ったりすることがあります。
そのような場合は、不安障害や適応障害といった病気の可能性があります。
不安障害は、出来事に対して必要以上に不安を感じてしまう病気です。必要以上に不安や恐怖を感じるため、日常生活にまで支障をきたします。下記に挙げる3つの障害が不安障害の代表例として挙げられます。
- パニック障害:激しい不安や動悸、めまい、呼吸困難といった症状が現れる
- 社会不安障害:人との会話や人が多い場所に強い恐怖を感じる
- 強迫性障害:ある行動を繰り返さなければ落ち着かない
適応障害は、強いストレスを受けた結果、日常生活に支障をきたすほどの心の不調が続く病気です。症状は環境によって異なります。会社や学校が原因の場合、家では症状が出ないものの、会社や学校に行くと症状が現れます。
適応障害の特徴は、原因がわかりやすいことです。そのため、会社や学校といった原因となる場所から距離をおいたり、ストレスを受けている原因が解消されたりすれば、回復しやすくなります。
不安障害や適応障害の場合、「家から出られない」「人に会えない」といった状態になるため、日常生活に支障をきたすことがあります。
発達障害
怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときには、発達障害を抱えている可能性も挙げられます。怒られるのが怖いと感じる原因として以下のものがある場合、軽度の発達障害の可能性も考えられます。
- 仕事のミスが多い
- 忘れっぽい
- 一度に複数の物事を処理するのが難しい
- 人間関係でトラブルが多い
発達障害は、脳の機能に生まれつき特徴があると考えられている障害で、周囲との違いから社会生活に苦労するケースが見受けられます。軽度やグレーゾーンと判断される場合、大人になるまで本人はもちろん、周囲も気付かないケースもあります。
発達障害の代表的なものは以下の2つが挙げられます。
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ASD(自閉スペクトラム症)
ADHDは、衝動性や落ちつきのなさ、イライラしやすい、忘れっぽいといった傾向がある障害です。仕事では「マルチタスクができない」「優先順位がつけられない」「周囲が気になり集中できない」「整理整頓が苦手」などの特徴があります。思ったことをすぐ発言してしまうといった特徴もあり、トラブルの原因になる場合もあります。
ASDは、周囲とのコミュニケーションや仕事の段取りが苦手な傾向がある障害です。こだわりが強いことが特徴で、職場では周囲とのコミュニケーションの取りづらさから目立ってしまうケースがあります。
発達障害の場合、周囲との関係性の悪化により、職場で苦労することもあるようです。。
怒られるのが怖いと感じたら誰かに相談してみよう!
怒られるのが怖いと思う原因には、トラウマがあったり攻撃されていると感じてしまったりといった捉え方が挙げられます。どの原因も、これまでの体験や自信のなさから起こっています。
克服するには、怒られたことを前向きに捉えることがポイントです。しかし、怒られたときの捉え方を変えるのは簡単ではありません。怒られたときは自分を否定するのではなく、怒られた内容にフォーカスし成長できる機会と考えることもひとつの方法です。
また、怒られるのが怖いと思う気持ちが強いときは、心の病気や発達障害を抱えている可能性があります。怒られるのが怖いと感じた場合は、信頼できる人に相談することが大切です。
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