日常生活のなかで、ふとした瞬間に虚無感に襲われるのは誰もが経験しうるものです。しかし、虚無感をそのまま放置してしまうと精神疾患に発展する可能性もあります。今回は、虚無感に襲われる原因や解消法を解説します。
虚無感の意味とは
虚無感とは、自分の人生や世の中に意味や価値を感じられない状態のことです。すべての物事に虚しさを感じるため、生きる意味を見失う感覚に陥ることがあります。
情報が溢れる時代において、他人と比べる機会が増えたことで虚無感を抱えやすくなる傾向があります。虚無感は誰でも感じうることがありますが、放置すると精神疾患に発展する可能性があります。
虚無感に襲われる主な原因
虚無感を抱く原因はさまざまですが、主な原因として以下の4点が挙げられます。
- 目標がない
- 自分に自信がない
- 大切な人を喪失した
- 強いストレスや疲労を感じている
それぞれの原因を詳しく解説します。
目標がない
人生の大きな目標を失ったとき、虚無感に襲われる人がいます。たとえば、恋人と結婚するために一生懸命働いていたのに突然ふられたり、学生生活をすべて勉強に捧げたのに受験に失敗したりなど、生きがいを失うと虚無感に襲われやすくなる場合があります。
逆に何かに打ち込みすぎて達成した後に燃え尽き症候群になり、気力をなくす人もいます。燃え尽き症候群とは、ひとつのことに没頭していた人が急に意欲をなくしてしまい、社会に適応できなくなることです。新しい目標や熱中できる対象を見つけるまで、虚無感や燃え尽き症候群から抜け出せなくなる場合があります。
自分に自信がない
虚無感に襲われる原因として、自分に自信がないことが挙げられます。仕事の失敗や職場の人間関係は、社会生活を送るなかでたくさんの人が抱える悩みかもしれません。前向きな性格であれば、「次から気をつけよう」「悩んでも仕方ない」と気持ちを切り替えて前に進むこともできます。
一方、虚無感に襲われやすい人は仕事の失敗や職場の人間関係がうまくいかないと、自分を過度に責めて自信をなくしてしまうこともあるようです。仕事以外でも深く傷ついた出来事が起こると、自分への期待が下がってしまいます。それが、どこか虚しいといった虚無感を抱える原因になるようです。
大切な人を喪失した
失恋や死別など、大切な人を失うことで虚無感に襲われる場合があります。誰かに必要とされていると感じることで、自分自身の存在価値を確認できる場合もあります。大切な人を失うことで誰も自分を必要としていないと感じ、心にポッカリ穴が空いたような強い虚無感に襲われるようです。
この先の人生に意味を見出せなくなり、すべてが無駄なように感じてしまうこともあります。深い悲しみで傷ついた心は簡単に癒すことができないため、時間をかけて乗り越えることが必要かもしれません。また、対象は人だけではありません。没頭できる趣味もなく、仕事や勉強以外に打ち込むものがないという現実に直面するときも人は虚しさを感じる場合があります。
強いストレスや疲労を感じている
強いストレスや疲労が蓄積している場合も、虚無感に襲われやすい傾向にあります。たとえば、強いストレスを感じているとき、自分の気持ちをうまくコントロールできない人もいるかもしれません。日常で起こる些細なことでも深く傷ついてしまい、虚無感に襲われる場合があります。同じ出来事でも心の状態で捉え方が変わるため、ストレスのない生活を送ることも有効です。
また、睡眠不足が続くときは疲労が溜まりやすく、虚無感を抱きやすいようです。身体の状態は心に大きな影響を与えており、十分な睡眠がとれず疲労が溜まると孤独を感じやすくなる場合があります。思考もネガティブになり、つらい状況が続くなら生きる意味はないという感情に支配されて虚無感に襲われることがあります。
虚無感に襲われやすい人の5つの特徴
虚無感に襲われやすい人には、以下のような共通点が挙げられます。
- 真面目
- 感受性が強い
- 承認欲求が強い
- 依存しやすい
- 自己肯定感が低い
それぞれの特徴を詳しく解説します。
真面目
虚無感に襲われやすい人は、真面目な性格である場合があります。真面目な人は責任感が強く、夢や目標を達成するために人一倍努力する傾向があります。努力することは素敵なことですが、自分に厳しくするあまりストレスを抱え込んでしまう人もいるかもしれません。周囲に迷惑をかけたくない気持ちも強いため、誰にも相談せずに最後までやり遂げようとします。
その結果、ストレスから自律神経が乱れ、気分が落ち込んだり疲労が蓄積したりして虚無感に襲われやすくなることがあります。また、何事も全力で受け止めようとするため、精神的に不安定になってしまう傾向があります。少しの失敗も許せず自己否定を繰り返した結果、強い虚無感を抱える人もいます。虚無感を抱かないためには、自分の感情を後回しにしないことが有効とされています。
感受性が強い
虚無感に襲われやすい人は、感受性が強いといった特徴があります。感受性が強い人は、基本的に心がやさしく思いやりに溢れており、周囲に好印象を与える魅力的な人です。しかし、周囲の心の機微を敏感に察知してしまうため、周りの影響を受けやすい場合があります。たとえば、自分にはまったく関係がない悲しいニュースでも、深く傷ついてしまう傾向があります。
また、周囲からの言動に影響を受けて、必要以上に傷ついたり落ち込んだりする場合もあり、ネガティブな感情に支配される状況が続くと、虚無感に襲われやすくなることもあります。感受性が強いことは良い面がたくさんある一方、虚無感に襲われやすい一面もあります。周囲の感情や言動に左右されず、ポジティブな状態を維持できるよう考え方を変える意識を持ってみるのもひとつの方法です。
承認欲求が強い
他者から認められたいという強い承認欲求がある人も、虚無感に襲われやすい場合があります。たとえ承認欲求が強くても、周囲に自分を認めてくれる存在がいれば虚無感に襲われることはないかもしれません。しかし、誰からも認められなくなると、自分に存在価値を見出せなくなり、強い虚無感を抱く場合があります。
承認欲求が強い人の共通点として、幼少期にたくさん褒められて育ってきたことが挙げられます。大人になると周囲から褒められる機会が減るため、承認欲求が満たされず虚無感を抱きやすくなってしまうようです。逆に、親から認められたり褒められたりした経験が少ない人も、承認欲求が強くなる傾向にあります。
依存しやすい
依存体質な人も虚無感を抱きやすい傾向があります。依存体質な人は依存できる対象がないと、一人で生きていくことさえ恐怖に感じることもあります。一人で過ごす時間も楽しむことができず、誰かと行動を共にして不安や寂しさを埋めようとすることがあります。そのような依存体質な人が虚無感に陥りやすいのは、恋人との別れです。
これまで恋人に依存していたため、その存在がいなくなると強い虚無感に襲われてしまうようです。依存体質になる人は、幼少期に親から愛情を受けて育っていない傾向があります。愛される経験があまりないため、他者への依存度が高くなってしまうことがあります。新しい物事に関心を持ったり自己肯定感を高めたりして、依存体質から抜け出すことも有効な手段のひとつです。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人も虚無感に襲われやすい傾向にあります。自己肯定感は自分を肯定する感覚で、他者と比較することなく、ありのままの自分を認めて尊重することで育まれるといわれています。しかし、自己肯定感が低い人は自信がなく、ありのままの自分を認めてあげられないこともあるようです。常に他者の目を気にしてしまい、周囲の評価に左右されてしまうこともあるかもしれません。
過剰に他者と比較すると、自己嫌悪に陥ったり嫉妬や劣等感に苛まれたりなど、常にネガティブな感情で支配されてしまいます。心が不安定な状態が続くと些細なことでも深く傷ついてしまい、虚無感に襲われることもあるかもしれません。自己肯定感が低い人は、幼少期に親からいつも怒られていたり厳しい家庭環境で育ったりした傾向があります。
虚無感は放置すると精神疾患に発展する可能性がある?
虚無感の状態を放置すると、以下のような精神疾患へと発展する可能性があります。
- うつ病
- 境界性パーソナリティ障害
- 燃え尽き症候群
それぞれの特徴を詳しく解説します。
うつ病
うつ病は、脳のエネルギーが欠乏した状態に陥る疾患です。通常は自然治癒力で精神的・身体的な負担があっても回復することができます。しかし、脳のエネルギーが欠乏することで回復する力が低下し、食欲や睡眠欲など意欲の低下や憂鬱な気分などさまざまな症状が引き起こされます。
症状が悪化すると仕事や家事など社会的機能がうまく働かなくなり、生活に支障をきたすようになる場合があります。うつ病の症状には、虚しさを感じて人生に意味や価値を感じられない状態も含まれています。虚無感を放置してしまうと感情や思考力などが低下し、生活に支障が出るほどの症状に悩まされるかもしれません。
境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害とは、気持ちが不安定で日常生活で著しい支障が出てしまう障害です。「相手が自分から離れていく」「自分を大事にしてくれない」と感じると、いきなり不安や怒りがこみ上げ、感情をうまくコントロールできなくなることがあります。
不安や怒りが落ち着いて一旦冷静になると「なぜ感情的になってしまったのか……」と反省の気持ちが湧いて自分を責めてしまいます。境界性パーソナリティ障害の人は極端な行動を取ってしまうため、人間関係が長続きしづらい傾向にあります。虚無感から抜け出すことが難しくなると、境界性パーソナリティ障害へと発展する可能性があります。
燃え尽き症候群
燃え尽き症候群とは、これまでひとつのことに没頭してきた人が燃え尽きたかのように意欲を失い、社会に適応できなくなる状態のことです。燃え尽き症候群は絶え間ない過度のストレスにより発生し、うつ病の一種とも考えられています。
燃え尽き症候群になると、朝起きられなくなったり情緒不安定になったりなどさまざまな症状が現れます。また、積極的に他者と関わろうとせず、職場で孤立してしまうこともあります。病気の抵抗力が低下し、人生に意味や価値を見出せなくなってしまうことから、家庭生活の崩壊に至る場合もあります。
虚無感に襲われたときの7つの解消法
精神疾患へと発展させないために、虚無感から抜け出すことが重要です。虚無感に襲われたときの解消法には、次のようなものが挙げられます。
- 虚無感と向き合う
- 熱中できることに打ち込む
- 休息をとる
- 日光浴をする
- 運動をする
- 目標を見つける
- 誰かと話す
それぞれの解消法を詳しく解説します。
1.虚無感と向き合う
虚無感から目を背けたくて放置してしまう人もいるかもしれませんが、精神疾患へと発展してしまう場合もあります。手遅れになる前に、虚無感に襲われている現状を受け入れて自分自身と向き合うことが有効と言われています。自分がなぜ虚無感を抱いているのか追求してみるのもひとつの手段です。
虚無感に襲われる理由が明確になれば、自然と解消法がわかる場合があります。理由がわかればモヤモヤした気持ちも解消できる、虚無感から抜け出す良いきっかけになることもあります。気持ちを整理したい時は、今の感情を書き出してみるのもいいかもしれません。
2.熱中できることに打ち込む
没頭できることに集中すれば、虚無感を抱いている時間を減らすこともできます。大きなことでなくても、仕事や趣味など、熱中できるものであれば問題ありません。自分が心から楽しいと思えるような仕事や趣味が見つかれば、生き生きとした生活を送れるかもしれません。
趣味を始めると、好きなものが似ている人同士が集まることもあります。そのなかで、意気投合する友達ができるかもしれません。誰かと話すことで気持ちも楽になり、前向きな気持ちになれる場合もあります。人と距離を置きたい場合は、漫画を読んだり釣りをしたりなど、一人でできることから始めてみるのも有効です。
3.休息をとる
虚無感から少しでも早く抜け出そうと焦る必要はありません。虚無感に襲われるときは、心が深く傷ついている場合もあるため、その傷を癒すための時間が必要です。無理に何かしようとすると逆効果になる場合もあるため、「行動を起こす気になれない……」と感じるときは休息をとることを優先するのが良いかもしれません。
しっかり食べて十分な睡眠をとり、身体と脳を休めてあげるのが有効です。しっかりと休息をとってから自分の虚無感と向き合い、少しずつ解消していくのが良いかもしれません。
4.日光浴をする
虚無感を抱く状態から抜け出したい場合は、日光浴をするのもひとつの方法です。人は日光を浴びると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が抑えられます。朝にしっかりと日光を浴びれば日中は活動的になり、夜は自然と眠気を感じるようになります。
メラトニンは体内時計を調整する役割も持つため、朝に日光浴をすることで生活リズムが整うことも期待できます。深い眠りにつければ心身ともに健康になり、虚無感に襲われにくくなる場合があります。
5.運動をする
運動することで自律神経が整うため、憂鬱な気分を晴らせる場合があります。今まで運動からかけ離れた生活を送っていた場合は、ヨガや散歩、ストレッチなど身体に負担がかかりづらいものから始めてみるのが良いかもしれません。
身体が慣れてくれば、好きなスポーツを楽しむのもおすすめです。身体を動かさず過ごしているとストレスの原因について考えてしまい、負のループから抜け出せない場合もあります。身体に負担がない程度に運動をして、気分転換をはかるのも有効な手段です。
6.目標を見つける
前向きな気持ちを持てるようになったら、新しい目標を探すのも有効です。目標といっても、達成するのが難しいようなものである必要はありません。「料理に挑戦したい」「資格を取りたい」など、自分が没頭できそうな目標を見つけてみましょう。
目標を持てれば未来に意識を向けられるため、前向きな気持ちになり虚無感が和らぐ場合があります。設定した目標を達成できたら成功体験を積むことができ、自分に自信が持てるようになる人もいます。小さなことでもたくさんの成功体験を積むことができれば、自己肯定感を高めることにつながるかもしれません。
7.誰かと話す
虚無感から抜け出せずにいる場合は、信頼できる家族や友達に話してみる方法もあります。今抱える現状を誰かに話すことで、気持ちが楽になるかもしれません。自分を理解してくれる存在がいると感じるだけで、勇気が持てて前に進むきっかけになることもあります。
もし家族や友達に話すことが躊躇われる場合は、、カウンセリングを活用してみるのも有効な手段のひとつです。家族や友達ではない第三者だからこそ、気軽に話せることもあるかもしれません。カウンセリングを受けることで、言葉にできないようなモヤモヤした気持ちを整理し、解決に向けて行動できることがあります。
虚無感は放置せずに誰かに相談しよう!
虚無感は放置すると、精神疾患へと発展する可能性があります。症状が悪化すると、社会生活に支障が出るほどつらい状況に陥るかもしれません。
症状を悪化させないためには、現状の自分と向き合ったり目標を見つけたりして虚無感から抜け出す必要があります。虚無感に襲われて、解決の糸口が見えないときには、親や友達に話したりカウンセリングを利用したりなど、誰かに相談することも検討するのも良いかもしれません。
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