人間不信とは、思い出したくないほどの過去の経験が原因となり、人を信じられなくなってしまうことです。「信じたいけれど、裏切られるのではないか」と不安を感じる場合には、人間不信になっている可能性があります。
本記事では、人間不信の10の特徴と克服の仕方を詳しく解説します。
人間不信の10の特徴とは
人間不信の表れ方は、個人によって異なる場合があります。しかし、おおよその傾向は共通しているといえそうです。人間不信の主な特徴は、以下の10項目です。
- 感情表現が乏しい
- 人との関わりが苦手
- ひとりを好む
- 親しくなると急に離れる
- 他人を試してしまう
- 他人への不平不満が多い
- 警戒心が強い
- 自分に自信がない
- プライドが高い
- ネガティブ思考になりやすい
それぞれ詳しく説明します。人間不信を治す第一歩は、自分が人間不信になっているかどうかを知ることかもしれません。「自分は人間不信になっているのではないか」と悩んでいる場合には、これらの項目を参考にすることをおすすめします。
1.感情表現が乏しい
人間不信になると、人を信じられなくなるため、他人とコミュニケーションを取っている最中でも、相手を疑うことに意識が集中しがちです。そのため、笑顔になったり、涙を浮かべたり、驚いたりといった感情表現が乏しくなってしまう傾向が見られます。
その結果、相手から「何を考えているのか、よくわからない」と思われるケースが出てくるかもしれません。また、「本当の自分をさらけ出したくない」という気持ちが加わると、さらに感情を表に出せなくなり、他人との信頼関係を築くのが難しくなる場合があります。
2.人との関わりが苦手
人間不信の特徴として、「人と関わるのが苦手」があげられます。知人や友人などから誘いがあっても断る、人とのコミュニケーションを可能なかぎり回避するという傾向が見られるようです。
これは「人と関わることにより、裏切られてしまい、嫌な思いをするのではないか」という警戒心が働くからかもしれません。
疑心暗鬼になってしまうと、人と関わることそのものがストレスとなってしまうことがあります。人と関わりたくないと感じることが多い場合には、人間不信になっているかもしれません。
3.ひとりを好む
人間不信に陥ると、ひとりであることを好むようになることもあります。「人との関わりさえ持たなければ、傷つくことがなくなる」と考えて、ひとりの時間を増やしていった結果、人との関わりをほとんど持たなくなったというケースもあります。
ただし、ひとりを好むからといって、人間不信であるとは限りません。もともと孤独が好きな性格とも考えられるためです。本記事では人間不信のさまざまな特徴を掲載しているため、いくつ当てはまるか、総合的に判断するのもひとつの方法です。
4.親しくなると急に離れる
親しくなると、急に離れてしまうという経験を何度かしているならば、人間不信になっているかもしれません。人間不信になると、人から裏切られることが怖くなる傾向があります。親しくなればなるほど、裏切られた時のダメージも大きくなるでしょう。
相手と親しくなると、裏切られた時のことが怖くなり、相手との距離を取ってしまうケースも出てきます。傷つくまえに離れてしまおうという心理が働いてしまうというと、わかりやすいかもしれません。
5.他人を試してしまう
人間不信になると、他人を試してしまうことがあります。他人を試す行為の具体的な例は、「わざと冷たく接する」「本心とはまったく違うことを語る」「相手の困ることをあえてする」「しばらく連絡を取らずに、放置する」などです。
相手の嫌がることをすることで、「これでも自分のことを嫌にならないか」「どれくらい自分を大切に思っているか」を、確認する心理が働いていると考えられます。
他人を試す行動を取ってしまうのは、自分に対する相手の気持ちを常に知っておかないと不安になってしまうことや、自分が傷つけられるリスクから自分を守ることが理由かもしません。
6.他人への不平不満が多い
人間不信になると、他人への不平不満が増える傾向があります。人を信じなくなると、他人の良くない部分や失敗ばかり目についてしまうことがあるためです。
仕事において、自分もミスをしているのに、相手のミスばかりが気になる場合には、人間不信に陥っているからかもしれません。他人への不平不満が増えた時には、自分がどういう状態であるのかを確認することが大切です。
7.警戒心が強い
他人への警戒心が強くなってしまうのは、人間不信になっているからかもしれません。人間不信により警戒心が強くなると、相手の好意を素直に受け取れなくなることがあります。
「今日のファッション、素敵だね」「いい仕事をしているね」などとほめられても、「何か下心があるのではないか」「自分を利用しようとしているのではないか」と疑ってしまうことがたびたびある場合は、人間不信に陥っている可能性があります。
8.自分に自信がない
自分に自信がないのは、人間不信である場合があります。人間不信に陥るようなつらい経験をした結果、自己肯定感を持てなくなり、「どうせ自分はダメなのだ」と思ってしまいがちです。
職場でほめられても自分に自信がないため、「馬鹿にされているのではないか」と感じてしまい、自信のなさがさらに人間不信をもたらすケースも考えられます。
9.プライドが高い
人間不信の表れとして、プライドが高いことが挙げられます。人を疑うことが何度も重なることにより、相手の言葉に耳を貸さなくなり、「相手が間違っているはずだ」「自分は正しいのだ」と思い込み、プライドが高くなってしまうという図式です。
もちろんプライドが高いことが、悪いわけではありません。自分の仕事に対して、プライドを持つことが必要な場合もあるでしょう。
しかし、過度なプライドの高さや根拠のないプライドの高さを抱いている場合は、人間不信になっているからかもしれません。
10.ネガティブ思考になりやすい
人間不信になると、ネガティブ思考になる傾向があります。また逆に、ネガティブ思考になりやすい人は、人間不信になってしまうこともありえるでしょう。
ネガティブ思考とは、物ごとを悪い方向にとらえてしまうことです。人間関係において、相手の発言を悪い方向に考えてしまうことと、相手を信じられなくなることとは、共通する部分がありそうです。
ネガティブ思考になりやすいと感じているならば、人間不信の可能性があるかもしれません。
人間不信になる主な原因やきっかけ
人間不信になる原因やきっかけは、多岐にわたります。育った環境や過酷な経験、つらい体験などです。主な原因やきっかけとして、以下の5つが挙げられます。
- 裏切られた経験がある
- 騙された経験がある
- いじめや虐待などを受けた経験がある
- 大きな喪失体験がある
- 幼少期の家庭環境が良くなかった
それぞれ詳しく解説します。
裏切られた経験がある
信頼していた人に裏切られた経験が、人間不信の原因になることがあります。「親友に恋人を取られた」「頼りにしていた同僚に仕事のアイデアを盗まれた」「親密だった相手に浮気された」など、信じている相手に裏切られた時のショックは計り知れません。
「信じていたのに」「なぜ?」というショックが失望感をもたらし、その失望感が深くなると裏切った人間だけでなく、まわりの人を信じられなくなり、人間不信になることもある場合もあるでしょう。
騙された経験がある
騙された経験によって、人間不信になることがあります。詐欺師はいかにもありそうな嘘、もっともらしい嘘をついて人を騙すのが得意です。一見人を騙すように見えないところが、詐欺師の詐欺師たるゆえんです。
ねずみ講に引っかかった経験から、人間不信になることもあるでしょう。相手が親切心から勧誘しているのだと思いこみ、相手のいいなりになってしまって、被害額が大きくなってしまったというニュースを聞くこともあります。
詐欺やねずみ講に引っかかった時の被害は、金銭的なものだけではありません。精神的なダメージを受けてしまう可能性もあります。
このように一度騙された経験があると、人の言葉を簡単には信じられなくなってしまうかもしれません。ショックが大きいと、人間不信になる場合もあります。
いじめや虐待などを受けた経験がある
いじめや虐待を受けたことが原因で、人間不信になってしまう場合があります。いじめも虐待も多種多様です。
子どものころに「クラスメイトからいやがらせをされた」「仲間はずれにされた」といったことから、大人になってから「職場で無視された」「仕事の妨害をされた」といったことまで、さまざまなものが考えられます。
また、幼少期に親や身近な人から受けた虐待は、心に深い傷を与えることがあるようです。大人になっても心の傷が癒えないまま、人間不信に陥ってしまうケースもありえます。
いじめや虐待を受けた経験を思い出すことがつらく苦しいため、もう思い出したくないというのは自然な感情です。記憶の片隅に追いやっていた経験が、実は人間不信の原因になっていたというケースもあるかもしれません。
大きな喪失体験がある
大きな喪失体験が人間不信の原因になっている場合もあります。喪失体験とは、恋人や友人、肉親など、自分にとって大切な人との別れを経験してしまうことです。失恋や死別が喪失体験になり、その後に大きく影響を及ぼすこともあるでしょう。
「このようなつらい思いはもうしたくない」と感じたことが、人間不信につながってしまうのかもしれません。
幼少期の家庭環境が良くなかった
幼少期の家庭環境が、人間不信の原因になることがあります。たとえば、「親から愛情を受けることがあまりなかった」「家族の仲が良くなかった」「家族とのコミュニケーションがうまく取れなかった」などといったことです。
家族のことを信頼できない環境で育った場合には、他人とのコミュニケーションを取っていても不安を感じてしまい、他人を信用することが難しくなってしまう場合があるかもしれません。
人間不信を克服するためのポイント
人間不信から抜け出し、健全な人間関係を築くためにはある程度、時間をかけてじっくり自分と向き合うことが必要かもしれません。人間不信の治し方はいくつか考えられます。主なポイントは、以下の7つです。
- 自己肯定感を高める
- 少しずつ心を開く努力をする
- 他人に期待しない
- 広く浅い関係からスタートしてみる
- 似たような人と関わる機会を増やしてみる
- 環境を変えてみる
- カウンセラーに相談する
それぞれ詳しく解説します。
自己肯定感を高める
人間不信を治すポイントのひとつは、自己肯定感を高めることです。自己肯定感を高めるとは、ありのままの自分に自信を持つこと、信じることでもあります。自分を信じることと人を信じることは、つながっているといえるかもしれません。
自己肯定感を高めるコツは、ちょっとした成功体験を地道に積み上げることです。はじめから大きな自信を手に入れるのは簡単ではありません。
日常のささいなこと、たとえば、「近所の人と挨拶をかわした」「知人にメールの返信をした」といったことの積み重ねが、自己肯定感につながる場合があります。
自分の取ったささいな行動に対して、「自分はよくやった」「今日もしっかり乗り越えられた」など、自分をほめることもおすすめです。自分をほめることで、気が楽になることがあるかもしれません。
「その日あった良かったことを日記に書く」ことを習慣化することが、自己肯定感を高めることにつながる場合もあります。小さな目標を掲げて、少しずつ成功体験を積み上げていくことはひとつの方法です。
少しずつ心を開く努力をする
自分から少しずつ心を開く努力をすることが、人間不信克服の第一歩になる場合があります。自分が心を開くと、相手も心を開いてくれることもあるでしょう。ただし、いきなり広く心を開くのは簡単ではないため、ほんの少しずつ開くところがポイントです。
自分の家族や親しい友人など、身近な人たちから信頼を寄せてみるのもひとつの方法です。少しずつ人のことを信じることの積み重ねが、人間不信を克服するきっかけになるかもしれません。
他人に期待しない
他人に期待しないことが、人間不信を治すことにプラスに働く場合があります。他人に期待しすぎたことにより、傷ついたり、ショックを受けたりするケースがあるためです。はじめから期待しなければ、相手の言動で傷つくことは少なくなるでしょう。
「他人は自分の期待どおりに動いてくれなくて当たり前」という考えを持つことで、感情の浮き沈みを減らせる場合もあります。
ほめられても、相手の言葉をそのまま鵜呑みにせず、「社交辞令かもしれないな」くらいに思うのもひとつの手です。他人に期待しないことが、人間不信を克服する第一歩になるかもしれません。
広く浅い関係からスタートしてみる
広く浅い関係からスタートすることも、人間不信を治す方法の一つです。深い関係を作らないことによって、相手に依存する度合いを抑えることができるためです。
広く浅い関係ならば、深く裏切られることはほとんどないでしょう。仮にうまくいかなかったとしても、ダメージを少なくできるかもしれません。他の人との関係で、容易にカバーできる場合があるためです。
広く浅い関係からスタートして、趣味の話や食べ物の話など、気軽な世間話をする関係を築くことから始めることも、選択肢のひとつです。
似たような人と関わる機会を増やしてみる
似たような人と関わる機会を増やすことも、人間不信を治すポイントになる場合があります。似たような人とは、共通の趣味や価値観を持っている人のことです。
まわりに同じ趣味を持っている人がいたら、いきなり一緒にその趣味を行うのではなく、その趣味について会話するところから始めるのもひとつの方法です。
自分と似たところを発見すると、親近感が湧いて、心理的な距離を縮めやすくなるでしょう。意気投合することによって、いつのまにか人間不信が解消されていたというケースも出てくるかもしれません。
環境を変えてみる
環境を変えてみることが、人間不信を治すきっかけになる場合があります。
環境を変えることによって、気持ちがリフレッシュすることができるため、ポジティブな気持ちになれるかもしれません。たとえば、労力やお金がかかりますが、引っ越しもひとつの選択肢です。
社会人の場合には、部署の異動願いを出すのもひとつの方法でしょう。職場環境が変われば、人間関係が変わり、今までの自分を知らない人とコミュニケーションを取ることで、人間不信が弱まるかもしれません。
カウンセラーに相談する
人間不信を治すための解決策が見つからない場合には、カウンセラーに相談する選択肢もあります。自分だけの力ではどうにもならないと感じている時には、家族や友人に話を聞いてもらうことで、心が少し軽くなることがあるかもしれません。
しかし、話をしようと思える相手が近くにいない場合は、心の専門家であるカウンセラーに相談するのもひとつの方法です。自分が気がついていない、人間不信の原因を引き出してもらえる場合もあるかもしれません。
カウンセラーに相談して人間不信を克服しよう!
人間不信は、過去のつらい体験などが原因で、人が信じられなくなってしまうことです。人間不信になると、良好な人間関係を作るのが難しくなることもあります。
人間不信を治すためには、「自己肯定感を高める」「少しずつ心を開く努力をする」「環境を変えてみる」など、さまざまな方法があります。
しかし、思ったように改善しない場合には、心の専門家であるカウンセラーに相談するのも、ひとつの選択肢となります。
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