自暴自棄になるとは、物事が思ったとおりにならなかったときに、自分を否定的にとらえてしまい投げやりになることです。先のことを考えられなくなり、やけくそな行動を取る傾向があります。この記事では、自暴自棄になりやすい人の特徴や立ち直るためのポイントを解説していきます。
自暴自棄の意味とは?
自暴自棄とは、意図したとおりの結果にならず、自分のことがどうでもよくなる心理状態を表す言葉です。自暴自棄になると、後先を考えずに投げやりな行動をしてしまう傾向があります。
もともとの言葉の由来は、中国戦国時代の儒学者である孟子の語った「自ら暴う者は、ともに言ること有るべからず。自ら棄つる者は、ともに成すこと有るべからず」という言葉です。自分を駄目にしたり自分を棄てるような人間とは、ともに語ったり何かを一緒にしたりすることはできないという趣旨の表現ですが、その中に「自暴」と「自棄」という語句が登場しています。
「自暴」とは、無茶なことをして自分の体を損なってしまうこと、「自棄」とは自分を棄ててしまうことという意味です。この2つの意味の組み合わさった状態が「自暴自棄」ということになります。
自暴自棄になると、自分のことを大切に思えなくなってしまいます。それだけではなく、周囲を巻き込んでしまう場合もあるため、自暴自棄になることは、危険な状態であるといえるでしょう。
自暴自棄と適応障害の違い
自暴自棄と適応障害は、表に出てくる行動に共通する部分があるため、混同されるケースもあるようです。しかし、自暴自棄が心理状態を指しているのに対して、適応障害は、精神疾患であるという明確な違いがあります。自暴自棄の状態を放置したままにしておくと、適応障害に発展してしまうことがあるため、注意が必要です。
対処法を考えていくうえでも、この2つを明確に区別して理解する必要があるといえるでしょう。自暴自棄と適応障害、それぞれの特徴を解説します。
自暴自棄の特徴
自暴自棄になると、自分や自分の体にとって良くないことをしてしまう傾向があります。たとえば、暴飲暴食です。ひたすら食べ続けたり、大量のアルコールを摂取したり、体に良くない行為をしてしまうことがあります。
現実逃避してしまったり、頭が混乱して理性的な判断ができなくなるなどの状態におちいることもあるでしょう。自傷行為を行ったり、他人に対して暴力行為をはたらいたりするケースもあるため、周囲に迷惑をかけてしまう場合もあります。
適応障害の特徴
自暴自棄の状態を放置し続けると、適応障害に発展する可能性があります。適応障害は、社会生活でのストレスによって、心身のバランスを崩してしまい、社会生活に支障をきたしてしまう精神疾患です。環境変化によるストレスが原因で適応障害になることが知られています。
適応障害になると、精神面では、気分の落ち込み、不安、怒り、焦り、緊張、意欲低下などの症状が現れます。普段明るく振る舞えていたのが、塞ぎこみがちになったり、ぼんやりする時間が増えたりすると要注意です。身体面では、睡眠障害や食欲不振が代表的な症状ですが、めまい、動悸、多汗、腹痛、嘔吐などの症状が現れるケースもあります。
また、行動の変化に現れる場合もあるため、周囲の人の声に耳を傾けることで、自分の変化を認識できる場合もあるかもしれません。
適応障害の原因は、仕事・恋愛・対人関係によるものから、災害や社会情勢の不安などの規模のものまでさまざまあります。生活の急激な変化や突発的な出来事がきっかけとなり、大きなストレスを感じることによって、もたらされるものといえるでしょう。
適応障害はうつ病とは違い、原因が明確で一過性のものであるため、原因となるストレスを取り除くことで症状が治ります。自暴自棄の状態が続いて、適応障害に発展するケースもあるため、自暴自棄になった場合には、早めの対処が必要です。
自暴自棄になる主な5つの原因
自暴自棄は、基本的には特定の原因があってもたらさせるものです。そのために、原因を明確にして、その要素を取り除くことが改善のために重要といえるでしょう。自暴自棄になる主な原因は以下の5つです。
- 失恋
- ストレスや疲労
- 信頼していた相手からの裏切り
- 頑張っても報われないと感じる
- 成功体験が少ない
それぞれくわしく解説します。
失恋
自暴自棄になる原因の一つは失恋です。とくに長期間にわたって付き合ってきて、いきなり別れてしまったり、結婚を前提として付き合ってきたのに、突然ふられてしまったりすると、大きなショックを受けてしまいます。そのショックがダメージとなり、自暴自棄になってしまうことがあります。
片思いをしていた相手にふられたことが原因で、自暴自棄になってしまう場合もあるでしょう。失恋したときの辛さは人それぞれです。すぐに立ち直れる人もいますが、いつまでも引きずってしまうケースもあります。「自分が悪かったのではないか」と自分を責めてしまうケースもあるでしょう。
自分で自分の傷口に塩を塗るような行為をすることでも、自暴自棄になることにつながる場合があります。失恋は、自分の努力ではどうにもできないことがあるため、悩み続けてしまい自暴自棄な状態が続くこともあるようです。
ストレスや疲労
自暴自棄になる原因としては、ストレスや疲労の蓄積も考えられます。ストレスは、さまざまな要因によって溜まってしまうものです。自分の意見を言えなかったり、不満に感じていることを我慢していることなどによって、もたらされます。
疲労も日々の生活の中で蓄積されるものといえるでしょう。ハードワークが続いたり、睡眠不足や不規則な生活が続いたりすることで、疲労が蓄積してしまいます。ストレスや疲労は小さなことの積み重ねでじわじわと溜まっていくため、注意が必要です。
信頼していた相手からの裏切り
信頼していた相手からの裏切りで、自暴自棄になることがあります。失恋の際のダメージとも通ずる部分がありますが、職場での人間関係や友人関係など、これまで築いてきた関係が一気に崩れてしまったときのショックは、計り知れないものがあります。
人間不信になってしまって、何を信じていいのかわからない状態になり、ショックをひとりで抱え込んでしまうことが自暴自棄の原因になってしまうこともあるでしょう。
頑張っても報われないと感じる
仕事や勉強やスポーツなどで、日々努力してきたことが報われなかったときに、自暴自棄になってしまうことがあります。積み重ねてきた努力が大きく、努力した期間が長いほど、ショックも大きくなるでしょう。あれほど努力してきたのに、正当な評価を受けられなかった、結果が出なかった、試験に合格しなかったなどのケースです。
仕事や勉強で結果がでなかったことが、将来への不安に繋がったり、自暴自棄を引き起こすケースも考えられます。
成功体験が少ない
成功体験を重ねることで、人は自信をつけられます。逆に成功体験が少ないと、自信を持つことが難しくなり、自分のミスに敏感になったり、前向きな気持ちになれないことで、自暴自棄になる場合があります。
「自分は何をやっても駄目なのだ」「人より劣っているのだ」と思い込み、コンプレックスに感じてしまい、自分を追い込むことで、自暴自棄になってしまうケースも考えられます。
自暴自棄になりやすい人の特徴
自暴自棄になりやすい人となりにくい人がいます。自暴自棄の原因に当てはまる状況だったとしても、すべての人が自暴自棄になるわけではありません。自暴自棄になりやすい人には、いくつかの特徴があります。主な特徴として考えられるのは、以下の4つです。
- 物事をネガティブに考えてしまう
- 我慢するのが苦手
- 自身の現状に不満がある
- ストレスを溜め込みやすい
それぞれくわしく解説します。
物事をネガティブに考えてしまう
物事をネガティブに考えてしまう人は、自暴自棄になりやすい傾向があります。ちょっとしたミスや失敗を重く受け止めて、後ろ向きになってしまったり、悲観的になってしまったりすると、自分で自分を追い詰めてしまいます。
「何をやってもうまくいかない」「すべて自分が悪いのではないか」といったネガティブ思考は、投げやりな気持ちにつながりやすく、自暴自棄の状態をもたらしやすくなります。
我慢するのが苦手
我慢するのが苦手な人も、自暴自棄になりやすいといえます。自分の感情をうまくコントロールできず、感情を爆発させることによって、自暴自棄になることがあるからです。
我慢するのが苦手な人は「自分は間違っていない」「悪くない」と頑なに思ってしまう傾向があります。そのために、ストレスを溜めやすくなり、イライラする機会が増え、自暴自棄になってしまうことがあります。
自身の現状に不満がある
自身の現状に不満を持っている人も、自暴自棄になりやすい傾向があります。自分の外見や性格、能力に対して不満を感じていて、「自分には良いところがない」と思ってしまうと、ついついネガティブ思考になってしまいがちです。
場合によっては、不満な現状を、まわりのせいにしてしまうこともあるかもしれません。不満を持ち続けることで、日々が楽しくなくなり、さらに不満が溜まるという悪循環におちいり、自暴自棄になってしまうケースもあります。
ストレスを溜め込みやすい
ストレスを溜め込みやすい人は、自暴自棄になりやすい傾向にあります。ストレスを感じることがあったとしても、趣味に打ち込んで発散したり、好きなことをやって気分転換できたりする人は、自暴自棄になりにくいと考えられます。
ストレスを発散するのが苦手な人は要注意です。ストレスが蓄積して精神が不安定になり、ある瞬間に爆発して、自暴自棄になってしまうケースもあります。
自暴自棄から立ち直るための5つのポイント
自暴自棄になってしまうと、自分で自分を傷つけてしまうだけでなく、周囲を巻き込んでしまうケースもあるために、早めに対処する必要があります。対処するためには、自暴自棄になってしまう原因を取り除くことが重要です。
自暴自棄から立ち直るための主なポイントは、以下の5つです。
- 現実を受け入れる
- 自分の好きなことにフォーカスする
- 気分転換をする
- 休息を取る
- 誰かに話してみる
それぞれくわしく解説します。
1.現実を受け入れる
自暴自棄から立ち直るためには、現実を受け入れることが大切です。自暴自棄な状態が続くと、なかなか状況が好転することが難しくなってきます。そんな時は、どうにもならないことがあるのだと、割り切ることで状態が改善されることがあります。
現実を受け入れることによって、自分が自暴自棄になっていることを改めて認識できるようになり、その結果として冷静になれるでしょう。自暴自棄の状態から抜け出すことによって、原因となったことに対する対処の仕方が見えてくるかもしれません。
2.自分の好きなことにフォーカスする
自暴自棄になってしまったときには、思いきって自分の好きなことにフォーカスすることも一つの方法です。好きな音楽を聴く、好きな映画を観る、好きな物を食べに行く、カラオケで好きな歌を歌うなど、自分の好きなことに集中するようにします。
自暴自棄になっていると、怒りや不満などネガティブな感情に満ちている状態になっていると考えられます。好きなことに集中することで、楽しい感情が湧いてきたり、愉快になったりして、気分が晴れやすくなることもあります。
悩みやイライラを忘れられる時間があるだけで、日々溜まっているストレスを発散することができます。
3.気分転換をする
好きなことにフォーカスすることにも通じますが、気分転換することも有効でしょう。自暴自棄になっているときには、どうしても視野が狭くなりがちです。「自分はもう駄目だ」「どうにもならない」と自分で自分を追い込むこともあります。
気分転換することで、視野が広くなったり、視点を変えたりすることが期待できます。
気分転換をするために、旅行や行楽で出かけるのも良いでしょう。長い時間が取れない場合は、散歩、読書、入浴など手軽にできるリフレッシュ方法もあります。
ちょっとした気分転換が、気持ちを変えるきっかけになることもあるでしょう。適度な運動をして体を動かすことも、気分転換の方法として効果的といえます。
4.休息を取る
自暴自棄になるのは、体や精神が疲れているサインであると考えられます。寝不足が原因になっている場合もあるでしょう。休息を取ること、しっかり眠ることは、自暴自棄から立ち直る方法の一つです。
休息を取ってリラックスすることによって、体の疲れが取れるだけでなく、精神が安定してくることも期待できます。気持ちにゆとりが生まれて、「なぜ自分を追い詰めていたのだろう」「先のことをゆっくり考えてみよう」と、気持ちが前向きになることもあるかもしれません。
5.誰かに話してみる
誰かに自分の悩みや不安や不満を話してみることで、自暴自棄の状態から抜け出せることがあります。自分ひとりでネガティブな感情を抱え込んでしまうことが、自暴自棄の原因になるからです。信頼できる友人や家族がいる場合には、素直に自分の思いを話してみるのも良いかもしれません。
孤独を感じている時、自暴自棄になってしまうことがあります。ひとりでネガティブな感情を抱えているうちに、どんどんその感情を溜め込んでしまうケースも考えられるでしょう。そういう場合には、話を聞いてもらい、共感してもらうことで気持ちが軽くなることがあります。
話を聞いてもらうことで、自分がどのようなことに悩んでいたのか、どのようなことにストレスを感じていたのか、自分の感情を整理することにもつながります。信頼できる人がまわりにいない場合には、心の専門家であるカウンセラーに相談してみるのもオススメです。
自暴自棄になったときは誰かに相談してみよう!
自暴自棄とは、思ったとおりにいかず、投げやりになってしまい、自分で自分を粗末に扱ってしまう状態のことです。失恋、ストレス、疲労、信頼していた人からの裏切り、頑張ってもなかなか報われないことなどが原因として考えられます。
自暴自棄の状態を放置しておくと、適応障害に繋がってしまう場合があるため、注意が必要です。自暴自棄からの立ち直り方としては、現実を受け入れる、好きなことにフォーカスする、気分転換する、ゆっくり休む、誰かに話を聞いてもらうなどの方法があります。しかし、簡単には解消できない場合もあるでしょう。
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