落ち込みやすさの原因は、本人の気質による心理的原因と、外部の環境による環境的要因に分かれます。不安や悩みを気にしないメンタルの習得を目指すには、どうすれば良いのでしょうか。
今回は落ち込みやすい人の特徴や、改善するためのポイントを紹介します。
落ち込みやすい主な2つの原因
「人から気にしすぎだといわれる」「必要以上にクヨクヨしてしまう」と悩んでいるあなたは、落ち込みやすい人かもしれません。
テンションや気持ちが落ちやすい原因は、内的要因(心理的原因)および外的要因(環境的要因)に分かれます。
心理的原因
心理的原因とは考え方の癖のことです。人は同じ事象に出くわしても、別々のとらえ方をする場合があります。子ども時代から現在にいたる過程で身についた考え方に左右されるためです。
幼少期に親から否定された経験や、いじめを受けたトラウマなどによって自己肯定感が低くなると、落ち込みやすい性格の形成につながります。自分の存在を肯定的にとらえられず、人生で起きるさまざまな事象をネガティブに考えてしまうためです。
もともと生まれ持った繊細さが、落ち込みやすい性格の原因となっていることもあります。世の中には感受性が豊かで、言葉を介さずとも、人の心情が読み取れるような敏感な人たちもいるようです。
繊細なため、怒りやイライラなど他人の負の感情も敏感に受け取ってしまい、落ち込むことがあります。
環境的原因
環境的原因とは職場や学校での人間関係、生活習慣、生活環境など自分の外側にある原因を指します。それらによって落ち込みやすい性格が形成されることがあります。
ファストフード中心の生活や、過度なダイエットなど乱れた食生活が、精神面の不調を引き起こしている場合もあります。
セロトニンやドーパミンのような心のバランスに影響する神経伝達物質は、主にタンパク質から作られます。食生活が乱れ、タンパク質を取り入れない食事が続くと、メンタル面が崩れ、落ち込みやすくなるようです。
スマホやテレビ、PCの見過ぎにも要注意です。セロトニンが不足すると脳疲労状態に陥り、自律神経の乱れにつながることで悩みやすい状態を作ります。
ノルマが課される職場・仕事で働いていると、他人と比べる考え方が身についてしまうこともあるでしょう。
自分は自分、他人は他人と割り切っている人でも、競争社会に身を置くうちに内面や性格に影響を及ぼしている可能性があります。
落ち込みやすい人の特徴とは?
精神的に落ち込みやすい人の原因はもともと繊細な気質の人や、環境が原因で自己肯定感が下がっている場合などさまざまです。
改善方法を知るためには、自分のことを冷静に分析することが必要です。ここからは、落ち込みやすい人に見られる特徴を解説します。
自分に自信がない
落ち込みやすい人は劣等感を抱えていて、自分に自信がない傾向にあります。トラブルが起きたとき、本来ならどちらが悪いと白黒つけるのが難しい状態でも、自分を責め立ててしまうことがあるため、落ち込みやすいといえます。
自分に自信がないと、誉め言葉も素直に受け取れず「どうせお世辞だろう」とネガティブにとらえてしまいがちです。
ものの見方やとらえ方が偏っていて、何かにつけて悪いほうに変換する「認知の歪み」が生じている場合もあります。また物事がうまくいかないときに、本当は関係ないにもかかわらず、原因は自分自身にあると関連づける傾向が見受けられます。
完璧主義
完璧主義な人は理想の自分を追い求めるあまり、現実とのギャップに苦しむ場合があります。求める水準が高いため、本人の能力や素質にかかわらず、現在との乖離が大きくなりがちです。
理想通りにできたか(100点)、理想通りにできなかったか(0点)という、二項対立の極端な考え方をする傾向があります。
完璧にできないと、実際には及第点レベルの成果を挙げていても、失敗に終わったと悪い意味に解釈してしまいがちです。
今の自分を物足りなく、または情けなく感じてしまうことで、徐々に自信が失われます。自分に対して厳しいのは悪いことではありませんが、劣等感や周囲への不信感につながると厄介です。
理想の自分を追い求めるのは、今の自分に満足していないからなのかもしれません。ありのままの姿を受け入れられず、いつの間にか自分を追い込んでしまっている可能性があります。
物事を深く考えすぎる
物事を深く考えすぎる人は、原因を追及するあまり、自分を追い込んでしまう場合があります。
たとえば、職場で朝挨拶をしたのに返事がこなかったとき、実際は単に声が届いていなかっただけなのに、「無視されたのかな」「嫌われているのか」と考えてしまいます。
思慮深さは素晴らしい個性ですが、必要以上に考えすぎるのも自分を追いつめてしまうため危険です。
物事を深く考えすぎてしまうことがストレスとなり、ますます落ち込んでしまいます。
裏に隠れた心情を推測しようとせず、悩んでも答えが出ないことには一旦置いておくと良いかもしれません。
人に嫌われるのが怖い
人に嫌われるのが怖い人は、悪口をいわれたり、仲間外れをされたりすることを過度に恐れる傾向があり、些細なことで落ち込みやすくなります。常に周りからの評価やイメージを気にしていて、好印象を与えるために本心をさらけ出せないようです。
人間関係に臆病になりやすく、普段から心配ごとや悩みを抱えていて、精神状態が安定しないことも多々あります。嫌われたくないあまり、相手の要求を断れず、慢性的にストレスを抱えがちです。
他人を優先しがち
他人を優先しがちな人は自分の感情を表に出せないため、ストレスを内面に溜め込み、落ち込みやすくなるようです。
人からの見え方を気にする傾向が強い人ともいえます。他人を優先するのは慎み深くやさしい性格ともいえますが、自分の内面をさらけ出すことを恐れすぎている場合もあります。
周囲に気を使い、相手に合わせていればトラブルやけんかにならず、自分が傷つくことはないでしょう。ただ、落ち込みやすい人は自分の欲求を抑え込み、心に壁を作っているのかもしれません。
人の意見に流されやすい
落ち込みやすい人は意思が弱く、他人の意見に流されやすい傾向があります。仲間外れにされたくない気持ちが強く、自らの意見を伝えて混乱を生むくらいなら、周囲に同調しておけば良いと考えます。
周りの意見に合わせてイエスマンでい続ければ、オリジナルの意見を出さずとも、居場所を確保できて楽かもしれません。
他人の意見に流されやすい人は、好かれたい思いが強いともいえます。ただ、人に合わせたのに周囲に認めてもらえない場合や、疎外感を抱いたときに失望するようです。
他人と比較してしまう
自分と他人を比較する癖がある人は、相手の良い部分と自分を比べてしまい、劣等感を抱きます。
目標にしたい人や尊敬したい人を目指して頑張るのは素敵なことですが、思考が勝ち負けにつながると、嫉妬や自信の喪失を引き起こします。他人はよりよく見えるものだと考えるようにすると良いかもしれません。
人に対して、自分の良い部分だけを見せたり、事実を誇張したりする人も存在します。仕事で成功して、プライベートも充実して見える人でも、実は心のうちに不安や悩みをかかえている場合もあります。他人についてはあくまで表面上しか見えていないと思うようにするのも1つの方法です。
過去の失敗で傷ついた経験がある
落ち込みやすい人は、過去の失敗やトラウマで負った心の傷の影響を受けている場合があります。ふとしたときに嫌な思い出がフラッシュバックして、仕事や作業の中断を余儀なくされるほど心が乱れることもあるでしょう。
何度も過去の失敗が思い起こされ、ショックを受ける機会が多いと精神的な負担が大きくなってしまうかもしれません。過去の失敗にいつまでもとらわれていると、日常生活でもストレスを受けやすく、立ち直りが遅くなる傾向があります。
症状があまりにひどい場合は、心療内科などの専門機関の受診を検討したほうが良いかもしれません。
落ち込みやすい性格を改善するための6つのポイント
落ち込みやすい性格を何とか改善したいと考えている人向けに、6つのポイントを紹介します。
- 自分自身を受け入れる
- 自分の力でどうにかできることだけを考える
- 客観視する癖をつける
- 人と関わる機会を増やす
- 環境を変える
- カウンセラーに相談する
それぞれ具体的な実践方法を中心に、解説します。
1.自分自身を受け入れる
落ち込んでしまった自分さえも受け入れることで、いち早く立ち直れるかもしれません。欠点を含めありのままの自分を認められるようになれば、そもそも落ち込む機会自体が減るでしょう。自己肯定感を高められれば良いのですが、難しいと感じる人が多いかもしれません。
自分自身を受け入れるための良い方法は、自分を責めるのをやめることです。落ち込みやすい人はうまくいかない原因は自分にあると考えがちなため、まずは自分は頑張っていると認めてあげてください。
また、自己肯定感は日によって変わるもので、常に自信を持っている人はいないでしょう。自分に自信がある人でも、睡眠不足や体調不良のときに、仕事でミスをすると気分が下がります。
失敗して落ち込みやすい人と悩んでも前へ進める人の違いは、気持ちを切り替える術を習得しているかどうかです。失敗する自分を受け入れられない人は、嫌なことがあったときにいつまでも自分を責め、悩んでしまうのかもしれません。
2.自分の力でどうにかできることだけを考える
悩みに対処するスタンスとして、自分ではどうにもならないことは考えるのをやめてみましょう。他人からの評価は、いくら好かれようと努力しても、相手次第であり改善するとは限りません。
仕事のスピードを上げる、成果を出せるように頑張る、他人に気を使うなど自分ができる範囲に集中します。
不本意なことや考えてもどうしようもないことは、思い切って考えるのをやめるのも一つの方法です。
努力は必要ですが、自分でできる範囲はやったといえるなら、悩むのはやめてみるのも良いかもしれません。
3.客観視する癖をつける
状況を客観視する癖をつけるのも、おすすめの方法です。冷静に見つめなおせば、悩む必要がない環境だったと気づく場合もあるためです。
たとえば、職場の人間関係で悩んでいるとしましょう。挨拶や声かけなどの工夫をしても改善しない場合、スキルや経験があるなら転職によって解決できます。無理に現状を改善しようとして、自分自身を追いつめないことが大切です。
客観的な視点を身につけるには、冷静であり続ける必要があります。込み上げてきた感情に流されないよう、息抜きやストレス発散の方法を事前に準備しておくと良いかもしれません。
4.人と関わる機会を増やす
人と接する機会を増やすことで視野が広がり、落ち込む必要がなか判断できるようになることもあるでしょう。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるように、同じことを一人で悩んでいるよりも、人の考え方を借りることで解決策が生まれる場合があります。
人間関係の幅が狭いと、特定の価値観や考え方にしか触れられず、視野が狭くなってしまいます。日常生活で特定の友人やパートナーしか関わらない人は、習い事やボランティアをはじめて、新しい人間関係を作ってみるのも一つの方法です。
多様な価値観に触れられるほか、自分を尊重してくれる人との出会いがあるかもしれません。
5.環境を変える
環境が原因で落ち込みやすいとの自覚があるなら、思い切って今いる場所を変えるのもおすすめです。嫌がらせやいじめをしてくる人がいる、ノルマが厳しくてついていけないなどのような状況が該当します。
ただし、転職の判断は慎重に行いましょう。環境を変えたからといって、必ず状況が改善するとは限らないからです。客観的に判断した上で、落ち込んでしまう環境から離れた結果、新しく生活も変化し気持ちも前向きになるかもしれません。
6.カウンセラーに相談する
落ち込みやすさが原因で日常生活に支障が出ているなら、公認心理師や臨床心理士のカウンセリングを受けるのもおすすめです。
電話やメールでの相談も受けつけているため、病院やクリニックの受診に抵抗がある人でも気兼ねなく利用できます。
落ち込みやすい状態が続くと、視野が狭くなり自分を客観的に見られなくなります。周りから見て、明らかに休息が必要な状態でも無理して頑張り続けている場合もあり、心の専門家の意見を聞くことも大切です。
気持ちを明るくしたいときに試したいこと
落ち込みやすい性格は、一朝一夕で改善できるものではないでしょう。すぐに気持ちを明るくしたいときに実践したい方法は次のとおりです。
- 睡眠をしっかりとる
- 体を動かす
- 正しい姿勢を心がける
- 自分自身を褒める
- ポジティブな言葉を発する
各方法について気持ちを明るくするメカニズムや、具体的な方法を紹介します。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足に陥るとホルモンバランスや免疫に支障をきたし、判断力の低下や落ち込みやすくなる危険があります。人は睡眠中に内蔵の休養、代謝の調整などを行っており、健康の維持には十分な睡眠が必須です。
適切な睡眠時間は人によって異なるため、自分が何時間眠ると万全な状態をキープできるのか、基準を見つけておきましょう。
なかなか寝つけない、夜中起きてしまう、早く目が覚めるなど不眠症に悩んでいるなら注意が必要です。症状が続くと日中のパフォーマンスにも影響し、眠気やだるさ、イライラ、集中力の低下を引き起こします。
不眠が落ち込みやすさの原因となっている場合もあるので真っ先に確認したいポイントです。
睡眠習慣の改善に効果的な対策は、夜にカフェインやアルコール、ニコチンを摂取しないことです。飲酒は一時的には眠気を引き起こしますが、睡眠の質は悪化します。
規則正しい生活サイクルを継続できると、毎日決まった時間に自然に眠くなります。生活習慣を見直し、食事の時間や起床・睡眠時間は極力同じ時間に固定すると良いかもしれません。
体を動かす
体を動かすと、気分が晴れ晴れとしスッキリします。適度な運動がメンタルヘルスに良いのは科学的にも立証されており、運動不足の自覚があるなら、ぜひ取り入れたい方法です。
とくにデスクワークやテレワークで、座ってばかりの生活が続いているなら、改善の必要があります。
気持ちが上がる効果を期待できるのは、一定のリズムを刻み続けるリズム運動です。神経伝達物質の一つ「セロトニン」の分泌を促進し、精神のバランスを整える働きを持っています。
一定のリズムを刻む運動を続けると、セロトニン神経の活動が促進し、覚醒状態を引き起こします。強度はあまり関係ないため、ウォーキングや軽いジョギングなどの一定のリズムでの運動を試してみると良いかもしれません。
正しい姿勢を心がける
心と体は密接につながっていて、背中が曲がっていると、気分まで落ち込む場合があります。
メンタル疾患で気持ちのエネルギーが低下したときは、姿勢も悪くなるといわれます。医学的にも根拠がある事象で、背中が曲がっていると横隔膜や肋骨がきちんと動かず、十分な空気を取り入れられなくなるようです。
呼吸が浅くなり、自律神経の乱れを引き起こすことで交感神経優位の緊張状態が続き、疲れやすい体となってしまうためです。
正しい姿勢を作るシンプルな方法は、背伸びをすることです。両手を組み、手首を返しながら頭上へと持っていき、横にストンと落とした状態が理想的だとされます。
人の姿勢は無意識に出来上がるため、日常生活でついた癖を正すのは簡単ではないかもしれません。日々意識して改善に努めることで、徐々に良い姿勢に近づきます。
背筋がピンと伸びた姿勢は見ていて気持ちよく、他人からの印象アップにもつながるでしょう。
自分自身を褒める
自分を責める傾向がある人や「私なんて」と思ってしまう人は、ぜひ自分自身を褒める習慣を取り入れてみてください。
達成しやすい小さな目標でかまいません。少しずつ達成し、日々自分を褒め続けることで、次第に自己肯定感が上昇し、ポジティブな思考が身につくかもしれません。
落ち込みやすい人は、繊細な感性や過去に起きた事象が原因で物事をネガティブにとらえがちです。
社会人として働いている場合、周囲の人から褒めてもらう機会はなかなかないかもしれません。
自分で自分を褒めれば頑張ったことに意味づけが生まれるため、はじめは恥ずかしいかもしれませんが、自分で自分を評価してあげましょう。
ポジティブな言葉を発する
日常的にポジティブな言葉を発するよう心がけるだけで、気持ちが明るくなります。たとえば、仕事で失敗したときでも「失敗してしまった」ではなく、「何が悪いかわかったから、次は改善しよう」と考えます。
人生のどん底に立たされても、「もうこれ以上落ちることはない」と前向きにとらえると、気持ちも楽になり、次に進むパワーとなります。
厳しく困難な状況でも心の持ち方次第で、一転して状況が好転に向かうかもしれません。愚痴が多くネガティブな人よりも、常に前向きな言葉を発する人のほうが周囲も協力してくれるはずです。
ポジティブな人は過去の失敗について後悔する時間は無駄だととらえ、それならば新しいチャレンジにリソースを割きたいと考えます。切り替えが早く、仕事や恋愛で落ち込むことがあっても、社会勉強の一環とみなし、前に進んでいきます。
どのような状況でも、ポジティブな言葉を発し続ける姿に人は敬意や憧れを抱き、周囲に恵まれることでしょう。
落ち込みやすいことは悪いことではない!ありのままの自分を受け入れてみよう
落ち込みやすい性格は改善が必要だと思われるかもしれませんが、決して悪いことではありません。
見方を変えれば共感力が高く、相手に丁寧で心がこもった対応ができるともいえます。周囲との関係を大事にし、発言や行動に気を使うため、人間関係でのトラブルに巻き込まれにくいのも利点です。
落ち込みやすい人は今まで社会生活でうまくいかなかった経験から、自信を喪失している場合があります。常に前向きで行動力にあふれる人と比較して劣等感を抱いたり、過去のフラッシュバッグに襲われたりと大変な思いをしているのかもしれません。
落ち込みやすさは個性の一種ととらえて、ありのままの自分を受け入れてみてください。今の性格のすべてを変える必要はなく、新たな価値観や考え方を取り入れる姿勢が大切です。
「落ち込みやすい性格が原因で仕事が続かない」「自分を客観的にみれない」などお困りなら、カウンセラーへの相談を検討してはいかがでしょうか。
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