パートナーがうつ病になると、サポートする側の心がつらくなることがあります。思い通りにいかないことも増えてイライラし、家族との関わり方に悩む人もいるかもしれません。
今回は、共倒れしないためのポイントや対策、頼れる医療機関や専門機関について解説します。
パートナーや家族のうつ病が与える影響とは?
うつ病になると、気分の落ち込みや憂うつになるなどの精神的な症状に加え、不眠や倦怠感など身体的な症状が現れる場合があります。日々の生活での対人コミュニケーションに影響を与え、うつ病の人とすごすパートナーに負担がかかることも考えられるでしょう。
うつ病の症状は周りから見るとわかりづらいケースもあり、サポートする側は当事者のつらさを深く理解できていないことがあるようです。
「なぜ簡単なことができないのだろう」「できないのは怠けているだけではないか」など、症状を軽視してネガティブな印象を抱いてしまう場合もあります。
うつ病は、休養や精神療法などを通して、時間をかけて少しずつ回復していく病気なため、近くでサポートする側は、うつ病の症状が回復するまで長期間にわたり支えることになります。その過程で、ストレスや疲労感が蓄積されていくことがあるようです。
うつ病患者のパートナーの方が共倒れしないための4つのポイント
うつ病患者のパートナーが共倒れしないためのポイントには、次のようなものが挙げられます。
- 治療者ではなく、協力者であるという考えを持つ
- うつ病患者の症状や特徴を理解する
- 離れてすごす時間を適度に確保する
- 必要に応じて医療機関や専門機関に頼る
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.治療者ではなく、協力者であるという考えを持つ
うつ病で苦しむパートナーが心配で、良かれと思って本人に行動を促したり「別の治療法を試してみたら?」などの提案をしたりしてしまう場合があります。うつ病のパートナーを心配して取った行動でも、本人からすると押し付けと感じることがあるようです。
共倒れしないためには、治療は主治医や心の専門家に任せ、パートナーは本人を見守る協力者という意識を持ちましょう。心配になることもあるでしょうが、本人のペースに任せて治療を進めることが求められます。
このような焦りや不安などが、かえってうつ病の回復を遅らせてしまう場合もあるため、うつ病のパートナーを見守る協力者として、適度な距離を保ちつつ支援するのが良いかもしれません。
2.うつ病患者の症状や特徴を理解する
共倒れしないためには、うつ病の症状や特徴を理解することが求められます。
うつ病の治療は回復までに時間を要することが多く、症状が落ち着くまで数か月~数年かかることもあるようです。また、うつ病の症状は多岐にわたり、さまざまな症状が並行して現れる場合もあります。
さまざまな症状が出ることでうつ病がなかなか回復せず、本人が不安や焦りを感じることもあるかもしれません。そのような姿を見ると心配になりますが、サポートする側が本人の気持ちに共感しすぎると、お互いに心が疲弊して共倒れになってしまうことがあります。
共倒れしないためには、サポートする側が本人の不安や焦りに一喜一憂しないことが求められます。たとえば、サポートする側がうつ病の治療は時間がかかることを理解しておけば、たとえ本人が不安や焦りを感じていても、同じように落ち込むことがなくなるかもしれません。
3.離れてすごす時間を適度に確保する
うつ病で苦しむ姿を見ると、「少しでも楽にしてあげたい」という気持ちからパートナーとの距離が近くなりすぎる場合があります。距離が近くなりすぎると、パートナーとの間に気持ちのすれ違いが起こりやすくなるようです。
気持ちのすれ違いが起こると、パートナーとの衝突が増えることもあるようです。これではお互いに精神的に疲弊してしまい、共倒れになる場合があります。共倒れしないためには、当事者と適度に離れてすごす時間をつくることが重要かもしれません。
たとえば、友達と話したり趣味に没頭したりなど、うつ病のパートナーと離れる時間をつくるのが良いといわれています。離れる時間をつくることがストレス発散につながり、うつ病のパートナーとの関わり方や適切な距離感を見つめ直すきっかけになる場合があります。
4.必要に応じて医療機関や専門機関に頼る
うつ病のパートナーとの関係が行き詰まり、サポートする側が疲弊してしまうこともあるようです。無理をしてサポートを続けると、うつ病患者のパートナーと共倒れになるかもしれません。このような場合は、共倒れになる前に早い段階で医療機関や専門機関に頼ることを検討するのが良いかもしれません。
医療機関や専門機関に頼ることで、第三者の協力が得られて、心が楽になったり気持ちのすれ違いを解消できたりする場合があります。
うつ病患者のパートナーが頼れる医療機関や専門機関
うつ病患者のパートナーが利用できる医療機関や専門機関には、次のようなものがあります。
- 精神科や心療内科
- カウンセリング
- 精神保健福祉センター
- 家族会や家族向けコミュニティサイト
それぞれの概要やメリットを詳しく解説します。
精神科や心療内科
専門家の支援を受けたいときは、精神科や心療内科を利用するのがお勧めです。精神科は気分の落ち込みやイライラなど心の症状や病気を専門に治療し、心療内科はストレスが要因で身体的に現れる症状の治療をおこないます。
たとえば、頭痛や吐き気、腹痛など身体の不調の原因がストレスにある場合は、心療内科を受診するのが良いかもしれません。
どちらも症状の回復が見込める薬を処方してくれたり、親身に相談に乗ってくれたりするメリットがあります。また、うつ病患者のパートナーが通院に同行することで、病気への理解を深められ家族間の悩みの解決策が見つかる場合もあるようです。
うつ病への理解を深めたり適切な支援方法を学んだりしたい方は、通院同行を検討するのが良いかもしれません。
カウンセリング
カウンセリングを受けることで、モヤモヤした気持ちを整理できたり悩みの根本的な原因に気づけたりする場合があります。とくに、うつ病を発症すると、以前楽しめていたことが楽しめなくなり、周囲と関わりたいと思わなくなるようです。
不眠や過眠の症状が出ると、昼夜が逆転して家に引きこもりがちになる場合もあるようです。これではストレスを発散する場所がなく、精神的な負担が増えるかもしれません。カウンセリングでは、心に溜まった焦りや不安な気持ちを吐き出すことで、心が楽になることもあります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、精神疾患や障害など心の病気について相談できる支援機関です。精神保健福祉法に基づいて、各都道府県・政令指定都市に設置されています。
各センターで規模は異なりますが、医師や臨床心理士などが在籍しており、専門家に相談できるのが特徴です。
また、精神保健福祉センターは、本人が治療を拒否している場合や接し方がわからないなど、うつ病患者をサポートする側の悩みも相談できます。精神保健福祉センターへの相談は電話と対面から選べて、いつでも気軽に利用できるのがメリットです。
家族会や家族向けコミュニティサイト
うつ病患者をサポートする側が悩みを相談したい場合は、家族会や家族向けコミュニティサイトを利用するのもひとつの方法です。
家族会とは、身内に精神疾患を抱えている人たちが集まり、自身の体験や気持ちを共有する会です。家族向けコミュニティサイトは、精神疾患や障がいがある人とすごす家族が直面する問題を匿名で相談できる場所を提供しています。
立場の近い者同士が集まるため、情報交換の場として活用する人もいるようです。うつ病の悩みは繊細な問題であるため、一人で問題を抱える人もいるかもしれません。
自分の気持ちを理解してもらえる場があることで、うつ病患者の支援を続けていく精神的な支えになるようです。
うつ病患者のパートナーの方が共倒れしないための具体的な対策や対応
うつ病患者のパートナーが共倒れしないためには、次のような対策や対応があります。
- 話をよく聞く
- 安心できる環境をつくる
- 非難の言葉や失敗を責めずに認める
- 気分転換を無理に勧めない
- 大切な人であることを伝える
- 長い目でそっと見守る
- 自殺のサインを見逃さない
それぞれの対応や対策について詳しく解説します。
話をよく聞く
うつ病の症状でつらく苦しそうな姿を見ていると、「少しでも早く回復してほしい」「楽にしてあげたい」という思いから、本人に意見やアドバイスをしたくなる場合もあるかもしれません。
しかし、良かれと思って取った行動でも、本人を精神的に追い詰めてしまう場合があります。うつ病患者がつらそうなときは、そばで話を聞くのが良いかもしれません。
思うように回復が進んでいない場合は、焦りや不安から精神的に不安定になる人もいるようです。うつ病の人が自分から話をしてきたら、じっくり聞いてあげることをお勧めします。近くに理解者がいると思えると、精神的に落ち着くこともあるようです。
安心できる環境をつくる
うつ病を回復させるには、十分な休養が有効だといわれています。うつ病の回復を促すためにも、うつ病のパートナーが安心して生活できる環境を整えることが良いかもしれません。自宅で休養する場合、うつ病の人が落ち着けない環境だと回復が遅れることがあるようです。
また、うつ病はさまざまな症状が現れるため、十分に休養できないと別の症状が出てしまう可能性もあります。うつ病患者が心から休める環境を整えることで、回復をサポートできるかもしれません。
非難の言葉や失敗を責めずに認める
うつ病の治療は、回復するまでに時間がかかるといわれています。治療が長引き、先の見えない状況にイライラすることもあるかもしれません。このような精神状態で、うつ病患者のマイナスな考え方や思考を目の当たりにすると、つい非難や叱責してしまうこともあるでしょう。
うつ病の人に非難や叱責をすると、本人が自分自身を必要以上に責めてしまうことがあります。うつ病患者の負担を減らすためにも、非難や叱責は避けることが大切です。
逆に、良いところに注目して認めることで、うつ病の回復をサポートできる場合があります。
気分転換を無理に勧めない
うつ病になると以前楽しめていたことが楽しめなくなり、人との関わりを避けて自宅に引きこりがちになる場合があります。1日中自宅ですごすことが増えると、一緒に住むものとして心配になり、「外に出て気分転換してきたら?」と提案したくなるかもしれません。
心配になるのもわかりますが、無理に勧めると本人の負担になることがあります。このようなときは、無理に気分転換は勧めず、そっと見守るのが良いかもしれません。
もし本人から気分転換したい気持ちを伝えてきた場合は、一緒に散歩をしてみるのもよいでしょう。
大切な人であることを伝える
うつ病の症状が悪化すると、死にたくなる気持ちを体験する場合があります。なかには、「死にたい」と口に出すこともあるようです。
このような言動が見られるときは決して軽視せず、本人の気持ちに共感しつつ「大切な人だから死なないでほしい」と本人に伝えることが大切です。
自分は必要とされている存在だと認識することで、生きようという気持ちにつながる場合があります。
長い目でそっと見守る
うつ病の回復が進まない状況に、周囲が不安や焦りを感じることもあるかもしれません。うつ病の回復には時間がかかることがあり、人によっては数か月~数年を要する場合もあります。
また、うつ病は良くなったり悪くなったりを繰り返して少しずつ回復するため、その変化に一喜一憂することもあるかもしれません。
サポートする側も一緒になって焦りや不安を感じてしまうと、心が疲弊してしまいます。回復を焦らず、長い目で本人を見守ることが重要です。
自殺のサインを見逃さない
自殺を考えている人は、無意識にサインを出しているといわれています。サインを出す人が必ず行動に移すとは限りませんが、無意識にサインを出している場合、死にたくなるほど精神的に追い詰められていることもあります。
自殺のサインには、次のようなものが挙げられます。
- お酒の量が増える
- 大きな失敗をする
- 重症の病気にかかる
- 自殺未遂に及ぶ
- 原因不明の体調不良が続く
主治医がいる場合は、早期に連絡して指示を仰ぎましょう。病院を受診していない場合は、本人に病院への受診を勧めるのが良いかもしれません。
うつ病患者のパートナーも心身をケアすることが重要!
うつ病は、生活での対人コミュニケーションに影響をもたらし、サポートするパートナーに精神的な負担がかかることがあるようです。このような状態が続くとパートナーもストレスが溜まり、共倒れになる可能性もあるため、心身ともにケアすることが求められます。
しかし、うつ病を支える側の悩みは繊細な問題であり、周囲に相談できない場合があります。また、モヤモヤした気持ちをうまく言葉にできない人もいるようです。
このような場合は、GARDENのオンラインカウンセリングの利用を検討してみるのが良いかもしれません。
カウンセラーとの対話を通して、自分の悩みや気持ちを整理できる場合もあります。また、第三者だからこそ話せることもあるため、悩みを打ち明けることで心が楽になることもあるでしょう。
一人で悩みを抱えているなら、GARDENのオンラインカウンセリングのご利用をぜひご検討ください。
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