何の根拠もなく、配偶者や恋人が不倫していると思い込む症状が嫉妬妄想と呼ばれています。一度嫉妬妄想にかかってしまうと、症状が次第にエスカレートしていき、他人や周辺を巻き込んでしまう騒動に発展してしまうことさえあるようです。
本記事では、嫉妬妄想の原因や症状の内容、そして完治するための対応策などについて詳しく解説しています。
証拠もないのにパートナーの不倫を疑うことがある人や、身近にそのような対象者がいる人は、本記事を参考にしてください。
嫉妬妄想とは?

嫉妬妄想とは、何の根拠もないのにもかかわらず、配偶者または恋人が不倫しているのではないかと疑い確信するという認知症の症状の一種です。パートナーの不倫行為を疑い始めると歯止めがきかず、妄想は次第にエスカレートするのが特徴とされています。
本人の性格によるものだけでなく、周辺環境がきっかけとなり発症するともいわれており、一度嫉妬妄想になると、いくらパートナーが否定しても妄想を否定できない点が特徴です。
たとえば、妻が近所の男性に挨拶しているのをみたと仮定しましょう。嫉妬妄想にかかっている夫は、単に妻と男性との挨拶をみただけで、不倫の現場を目撃したと思い込み、妻の不貞行為を激しく責め立てることさえあります。
勝手に不倫相手にされた男性を非難したり、妻の不倫を近所に触れまわしたりすることもあり、嫉妬妄想は何の関係もない他人を巻き込んでしまう深刻な疾病といえるかもしれません。
嫉妬妄想で引き起こされる変化や見られる主な症状

嫉妬妄想では、正常な日常生活を破綻しかねない変化が生じることもあり得ます。本来、互いの信頼関係で成り立っているはずの男女同士の生活環境が激変しかねません。
また、当人同士だけでなく、他人も巻き込む騒動に発展することさえあるのが嫉妬妄想の特徴です。ここでは、被害妄想で引き起こされる変化について、代表的な症例を3点紹介します。
パートナーの不貞を疑って嫉妬に駆られる
パートナーの愛情の強さが裏返った形で表れるのが、嫉妬妄想の特徴のようです。妻や恋人など自分のパートナーが異性の他人と不倫行為をしていると思い込み、何の根拠もなく思い込みが確信に変わっていくことが多いといわれています。
もちろん、疑われたパートナー側や周りの親族や知人たちは必死で否定しますが、被害妄想に凝り固まった当人は聞き耳を持ちません。
何の証拠もなく、ただ単に本人の妄想に過ぎないことが分からず、パートナーの不倫疑惑を払拭できないことが嫉妬妄想の深刻な症状です。
社会生活や家庭生活が破綻する
ごく普通の社会生活を営んでいる社会人が、嫉妬妄想にかかることで、それまでの社会生活や家庭生活を破綻しかねない点が嫉妬妄想の深刻な問題点です。嫉妬妄想が強くなることで、仕事や家事をしていても「今、浮気をしているのではないか」とパートナーを疑う気持ちで頭がいっぱいになり、仕事どころではなくなりかねません。
ついには通常の生活を犠牲にしてまでも、不倫の証拠をつかむためにパートナーを尾行するケースさえあるようです。もちろん、尾行したところで証拠を見出すことはできません。
妄想が消えることはなく、逆に妄想がエスカレートし、日常生活の破綻を招きかねないのが嫉妬妄想の特徴です。
自分や他者を傷つける
嫉妬妄想にかかると、パートナーに裏切られたという思い込みが高まり、不安感に襲われイライラすることが多くなるようです。さらに妄想が強くなるにしたがって、パートナーを罵倒したり、暴力を振るったりというDV被害も報告されています。
また、嫉妬妄想により精神的に不安定となり、苦しみから逃れるために自分の命を絶つという痛ましい実例さえあるようです。
周りからどのように諭されても、一度嫉妬妄想にかかってしまうとなかなか元に戻れずに、逆にエスカレートするのが嫉妬妄想の特徴といわれています。
嫉妬妄想の特徴が原因で、生活破綻どころか、生命の危険さえあるのが嫉妬妄想の恐ろしさといえるかもしれません。
嫉妬妄想が起こる原因とは?

嫉妬妄想は、本人の性格や周辺環境に起因して起きるといわれています。人それぞれに異なる原因があり、どれか一つに絞ることは難しいようです。
ここでは、嫉妬妄想の原因として知られている4つの要因について、その内容を説明します。
妄想性障害
妄想性障害の症状とは、実生活上で起きる可能性のある一つまたは複数の思い込みが、少なくとも1か月以上継続するといわれています。現実に表れる症例は、身体型・被害型・誇大型・被害愛型など個人差があり、嫉妬妄想は嫉妬型に区分されているようです。
妄想性障害の症状から、統合失調症と混同される場合が多いともいわれています。しかし、統合失調症によくみられる幻覚や幻聴、そして感情の変化などは妄想性障害ではみられないようです。
妄想性障害では、頭に浮かぶ思い込みが妄想となって肥大していき、その妄想を自分でも抑えられなくなることが特徴とされています。
パーソナリティ障害
一般の人々とは異なる行動や反応を示す症状は、パーソナリティ障害と呼ばれています。周囲の人々からは異端視され、協調性に欠ける人間との烙印を押されることもあるようです。
パーソナリティ障害にかかることで、自分の意志とは異なり正常な社会生活がおくれなくなってしまいかねません。パーソナリティ障害は、10タイプと3つの症状に区分されており、嫉妬妄想は妄想性パーソナリティ障害に該当するといわれています。
妄想性パーソナリティ障害では、特定の人物を根拠なく疑ったり、不審視したりする症状が特徴です。人を疑う感情が強くなることで、精神的に不安になり、他の精神疾患を発症する実例も知られています。
統合失調症
妄想とともに、幻覚や意欲減退の症状が統合失調症の特徴といわれています。日常生活における過度のストレスによって発症するといわれていますが、明確な原因は不明なことが多いようです。
統合失調症の中には、通常の日常生活では起きない陽性症状と、本来あるべき状態が欠落する陰性症状という2つのパターンがあります。嫉妬妄想は、前者の陽性症状に当てはまるようです。
根拠なくパートナーの不倫を疑う症状は、明らかに非現実的な思い込みといえるでしょう。そして、その妄想をかたくなに信じ込み、パートナーとの信頼関係が破綻してしまう結果を招きかねません。
認知症
高齢者に多いとされる認知症にも、嫉妬妄想の症状が知られています。認知症の症状では、記憶力や思考力の機能低下による症状が中核症状といわれているようです。
そして、嫉妬妄想は認知症の周辺症状の一つとされており、正常なら問題にもしない事象から、パートナーが自分から離れていくかもしれないという妄想が嫉妬的感情として表れるといわれています。
信頼する身内がいなくなる恐怖心は、強い嫉妬妄想を誘引し、パートナーを困惑させ、日常生活に影響を及ぼす結果となるようです。
嫉妬妄想かもと思った時の3つのポイント

根拠なくパートナーの不倫を疑った時に、「これは嫉妬妄想かもしれない」と思った場合、その感情がエスカレートしないために、実行すべきポイントがあります。
自分の気持ちが嫉妬妄想に傾きつつあると感じた際に、試してみて欲しい3つのポイントを以下に紹介します。
1.パートナー以外の関係を充実させる
嫉妬妄想は文字通り嫉妬心から生じる妄想だけに、必然的に妄想の対象者のほとんどは恋人や配偶者です。精神的な拠り所となっているパートナーが、自分から離れていく恐怖心や不安感が嫉妬心に変化し、それが妄想に変化しておくこともあるようです。
したがって、パートナーへの嫉妬心を少しでも感じたなら、嫉妬妄想へとエスカレートする前に、パートナーだけへ依存する生活を考え直してみます。
パートナー以外の知人や友人たちと積極的に交流することで、パートナーへの執着心は徐々に薄らいでいくかもしれません。
2.カウンセリングを受ける
嫉妬妄想の原因が疾病であるなしにかかわらず、嫉妬妄想の解消に実績がある心の専門家によるカウンセリングを受けてみても良いかもしれません。
嫉妬妄想は、本人がパートナーとの日常生活に大きな不安感を抱いている場合が多いといわれています。
そのようなケースでは、専門的な知識と知見が豊富なカウンセラーと会話を通して冷静になり、自分の考え方の偏りなどに気づけることで、妄想解消法となるかもしれません。
カウンセラーに対して、自身の思いを一気に吐き出すことのできるカウンセリングは、嫉妬妄想をなくすためにはおすすめしたい方法の一つです。
3.病院を受診する
嫉妬妄想を自分では解決できないと思った時は、思い切って病院にいって専門医の診察を受けてみることもおすすめです。経験豊富な専門医から診察してもらえば、嫉妬妄想の原因が判明するかもしれません。
たとえば、嫉妬妄想の症状が認知症と統合失調症では治療法が異なります。医師の診察を受けることで原因が明らかになり、より適切な治療が施されることでしょう。
ただし、自分が嫉妬妄想かもしれないという気持ちがたとえあったとしても、病院にいくことには躊躇する場合もあります。
そのようなケースでは信頼できる身内や親しい友人に付き添ってもらい、健康診断を受診するという本人がいきやすい環境を整えてから、軽い気持ちで病院にいくようにするのが良いいかもしれません。
嫉妬妄想へのパートナーの対応方法

嫉妬妄想の対象者となったパートナー側にとっては、身に覚えのない不倫行為を妄想によって責められることに困惑することでしょう。ただし、相手の嫉妬妄想の原因が分からない時点で、相手とやりあっても意味がありません。
嫉妬妄想を受けたパートナー側としては、どのように対応するのがよいのか、以下に4点の対応方法について紹介します。
あえて距離を取る
嫉妬妄想が次第にエスカレートするにつれて、毎日の生活を共にするパートナーはまともに相手するのが難しくなります。このようなケースでは、パートナーは、一度相手と距離を取ることを考えてみても良いかもしれません。
激しい嫉妬妄想のために、自分では対処できない場合、嫉妬妄想にかかった相手がそばにいない生活をしてみる対応方法があります。
嫉妬妄想の患者への治療実績がある医師や、ケアマネジャーなどの専門家によく相談し、本人とあえて距離を取ることもよい選択肢といえます。
不安を取り除いてあげる
嫉妬妄想の多くは、自分自身の不安感が原因になっているようです。したがって、本人の不安感を取り除くことで落ち着きが取り戻せて、症状が次第になくなっていくかもしれません。
嫉妬妄想の要因として、自分はパートナーに見捨てられるかもしれないという不安感の肥大の可能性が考えられます。自分はパートナーに必要とされている存在だと感じることで、不安要素は取り除かれるかもしれません。
普段のコミュニケーションをこまめに取り、スキンシップを多くすることで、徐々に落ち着きが取り戻せます。綿密なコミュニケーションが、不安感を解消する鍵となるかもしれません。
気を紛らわせる
嫉妬妄想にかかる人は、一度に複数の思考をこなせないケースがあるようです。
嫉妬妄想では、パートナーが不倫しているとの考えに凝り固まっていることから、それとはまったく別のことに注意を向けると、自分が嫉妬していたことを忘れてしまうこともあります。
嫉妬妄想の症状の兆しがあれば、すぐに他の話題を語りかけるようにすると良いかもしれません。その際、決して不倫を否定しないようにします。もし不倫の話題に乗ってしまうと、嫉妬妄想はさらにエスカレートしてしまうことがあるためです。
本人が自分の不倫疑惑の話をしても、それには反応せず、まったく別の話題にうまく持っていくことが大切です。
浮気を認めない
嫉妬妄想に対応するパートナー側の姿勢として大事なのは、本人の不安感を取り除き、落ち着かせることです。
本人から不倫を問い詰められた際、強く否定してはいけませんが、その場しのぎで肯定してもいけません。たとえ嘘であっても、浮気を認めてしまうと相手は混乱し、症状がさらに激しくなる場合もあるためです。
嫉妬妄想になった相手に対しては、パートナーは不倫や浮気を強く否定することなく、同時に肯定することもないようにしましょう。やんわりと他の話題に移り、相手の気が紛れるような対応を心がけましょう。
嫉妬妄想かもと思ったらカウンセリングを受けてみよう!

家族が嫉妬妄想にかかった場合、どう対処すればよいのか戸惑うことでしょう。対応を誤ると、妄想がさらにエスカレートする可能性さえあるといわれています。
本記事では、被害妄想の症状や原因などについて、また被害妄想の対象者となったパートナーの対処方法についても詳しく解説しました。
嫉妬妄想の兆しがあると自認している人や、家族の嫉妬妄想に悩んでいるのなら、GARDENのカウンセリングのご利用をぜひご検討ください。
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