毒親とは「毒になる親」の略称で、子どもに肉体的、精神的あるいは金銭的に苦痛を与えるといった特徴があるとされます。毒親育ちの人は自己肯定感が低い、何かに依存しやすいなどの傾向があるようです。
本記事では毒親の特徴や対処法のほか、毒親育ちの人の特徴などを解説します。
毒親とは?
毒親とは「毒になる親」の略称で、子どもに対して肉体的、精神的あるいは金銭的に苦痛を与えるといった特徴があるとされます。
毒親は、最近使われるようになった言葉ではありません。1989年に発行されたスーザン・フォワードの著書、「毒になる親」で使われたのが最初であるといわれています。
毒親の主な4つのタイプ
毒親は、主に次の4つのタイプに分類されるとされています。
- 過保護・過干渉タイプ
- 放置・無関心タイプ
- 支配・管理タイプ
- 虐待タイプ
各タイプの特徴を確認していきましょう。
1.過保護・過干渉タイプ
過保護タイプの場合、子どもを過剰に心配しすぎたり、子どもが成長し親離れしようとすると自立しないように引き止めたりする特徴があるとされます。このタイプは一見、子どもに目をかけ、しっかりと子育てを行っているようにも見えるため、毒親と気づかれにくい場合があります。
過干渉タイプの毒親は、子どもに親の意見を押しつけ、細かいことにまで口出しをするのが特徴とされます。子どもが小さいうちは、子どもの部屋に勝手に入って引き出しの中にしまっているものを見たり、友人関係などを事細かに把握しようとしたりするかもしれません。
また子どものやりたいことを制限したり、友達づきあいや進学、就職、結婚にまで口を出し続けたりする場合があります。
2.放置・無関心タイプ
子どもを放置し、子育てに無関心である親も、毒親と判断される場合があります。放置・無関心が特徴の毒親は、親としての責任感を持たず仕事や遊びに没頭したり、ギャンブルにのめりこんだり、アルコールに依存したりする傾向にあるようです。
子どもが十分な食事を与えられなかったり、規則正しい生活を送れなかったりすることで、健康状態に悪影響を及ぼすケースも考えられます。
3.支配・管理タイプ
子どもを言葉で心理的に攻撃したり、束縛することで、支配・管理することが特徴の毒親もいるとされます。このタイプは、「お前に〇〇ができるわけがない」「お前は馬鹿だ」と、子どもの人格を否定するような暴言を吐く場合があります。
「あなたが心配だから」と、模範的な親を演じながら子どもの行動を制限することもあるようです。
4.虐待タイプ
子どもに暴力をふるう毒親も存在します。このタイプの特徴は、思い通りにならない子どもに対して、自分の感情を抑えずに手を出すことがあります。虐待が明るみに出ないよう目立たない部分を狙って暴力をふるう傾向があるようです。
また、虐待には身体的虐待だけでなく、心理的虐待や性的虐待なども含まれます。いずれのケースでも、子ども時代に受けた虐待は、大人になってからもその精神面に大きな影響を及ぼす場合があります。
毒親育ちな人の特徴
毒親育ちな人には、以下のような特徴がみられるようです。
- 自己肯定感が低い
- 何かに依存しやすい
- 常に相手の顔色を伺う
- 人と比較してしまう
それぞれの特徴について、解説していきます。
自己肯定感が低い
毒親から否定され続けて育った人には、自己肯定感が低いという特徴がみられる場合があります。自己肯定感とはありのままの自分を肯定する感覚です。他人と比較することなく今の自分を認め尊重することであり、物事を前に進めるための原動力になるともいわれています。
親から褒められることなく、自分の行動や意見を否定されてきたため、自分に自信が持てず、物事に取り組む前から「自分にはできない」と諦めてしまうこともあるようです。また、ささいなことでも他人と自分を比べて、劣等感を抱いてしまう傾向もあります。
何かに依存しやすい
毒親に育てられた人は、何かに依存しやすい特徴があるといえるかもしれません。毒親育ちの人は、親を信頼することができなかった反動からか、人を信頼したいという気持ちが人よりも強い場合があります。
そのため、恋人や友人など、親密な関係になった相手に依存してしまう傾向がみられます。無意識に親の代わりを求めてしまうせいか、依存相手に自分のやることを決めてもらおうとしたり、相手が少しでも離れようとすると、強く束縛してしまったりする場合もあるようです。
依存するのは人間に限らず、買い物やアルコールなどのケースもあります。買い物によって満たされない心を充足しようとするため、買い物依存症になってしまう場合もあるようです。
常に相手の顔色を伺う
常に相手の顔色を伺ってしまうのも、毒親に育てられた人の特徴のひとつといえるかもしれません。先述したように毒親の中には、虐待をする親もいます。子どもは親の機嫌を損ねると、自分が被害を受けると考えてしまう傾向にあります。
そのため毒親に育てられた人は、常に親の顔色を見る傾向があるとされます。それによって、大人になっても無意識に相手の顔色を伺ってしまうことがあります。
人と比較してしまう
毒親育ちの場合、人と比較してしまう傾向があるかもしれません。子どもの頃に褒めてもらえなかったり、「〇〇ちゃんはできているのに、あなたはどうしてできないの?」というように、周囲の子と比べられたりした経験が影響していると考えられます。
子ども時代に親に褒められたり自分の存在を認めてもらえたりすると、自分に自信を持てるため、他人の目を過度に気にする大人になりにくいとされます。
しかし、親に存在や意見を否定され続けたことが原因で自分に自信が持てないと、「自分はこれで良いのだろうか?」と不安を抱えやすくなるかもしれません。人と自分を比較してしまうのは、自分に自信が持てず、自分は他人に比べてどうなのかという不安が常につきまとってしまうからという可能性があります。
毒親への対処法
毒親への対処法としては、次の5つが挙げられます。
- 受け流す
- 親との距離をとる
- 家族以外の人間関係を作る
- カウンセリングを受ける
- 警察へ相談する
基本的に相手を変えることは困難だと考え、その上でどのような選択肢があるかを確認すると、対応しやすくなるかもしれません。順番に解説していきます。
受け流す
毒親の言動を気にせず受け流すことができれば、トラブルを防ぎつつ対処できる場合もあります。親が何を言ったとしても、「この人は自分と違って、こう考えるんだ。」とテレビを見るかのように客観的に観察します。それにより、親の考え方や行動が自分に影響を与えないように心の中に壁を築くこともできます。
また、親から何を言われても受け流し、「親は親」「自分は自分」とはっきりと線引きをし、自分は自分の人生を歩むと考えてみるのも良いかもしれません。
さらに、現在の状況に陥ってしまった原因は自分にある、と子どもに思わせるような発言をする毒親もいるようです。しかし、子どもの立場であった自分に落ち度はなかったと冷静に考えられると、自分を責めずに済むかもしれません。
親との距離をとる
親との距離をとることも、毒親への対処として効果が高い方法といえるでしょう。まず家を出て1人暮らしを始め、物理的な距離をとってみることも、選択肢として挙げられます。1人暮らしを始めても親から頻繁に電話がかかってくる場合は、留守番電話にして基本的に出ないようにし、気持ちに余裕のあるときのみ出ると良いかもしれません。
折り返しの電話をしたり、メールの返信をしたりするタイミングをあえてずらすことで、少しずつ接触回数を減らしていくことも可能です。こうして徐々に親から物理的に離れ、最終的に心理的な距離をとることが望ましいと考えられます。
距離をとっても効果がみられない場合は、関係を絶つという方法を考えても良いかもしれません。実家で生活をしている場合は実家を出るのはもちろん、職場が同じである場合は転職を検討することも方法のひとつです。
家族以外の人間関係を作る
パートナーや親友などとの人間関係を強化し、家族以外との関係性に安らぎや安心を求められれば、心の安定が期待できるかもしれません。家族との人間関係が自分の精神に悪影響を及ぼす場合は、家族以外との人間関係の構築を優先し、自分を守ることもひとつの方法です。
特にパートナーを作ることは、毒親と距離をとるために効果があると考えられます。毒親は、そのような相手との関係性を否定するようなことを言ってくるかもしれません。しかし、それは子どもにパートナーができると、親の支配力が弱まることを懸念していることによる可能性が考えられます。
カウンセリングを受ける
カウンセリングで心の悩みの専門家であるカウンセラーに他の人には言えない気持ちを打ち明けることで、心が楽になる場合もあります。ここまでお伝えしてきたとおり毒親に育てられた方は、自己肯定感が低かったり、他人との付き合い方がわからなかったりする特徴がみられ、大人になっても苦しんでいる可能性があります。
周りに相談できず、1人で悩んでいるのであれば、心の専門家であるカウンセラーに相談することで、抱えている不安や辛さを軽くできるかもしれません。
警察へ相談する
毒親の行動の内容や程度によっては、警察に相談することが適切な場合もあります。たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
- 暴力をふるわれた
- 突然職場に押しかけてきた
親子間でも、暴行や傷害、脅迫などは犯罪になるとされます。それ以外でも、自分以外の人に迷惑をかけたり、日常生活に支障を及ぼしたりするレベルの場合は、警察に相談することを視野に入れる必要があるかもしれません。
警察に相談することで、「毒親に悩んでいて相談した」という実績を作ることも大切とされます。相談実績を作っておくと、「住民票閲覧制限」を申請する際に有利になる場合があるためです。
住民票の閲覧制限とは、家庭内暴力などが行われている場合に、加害者にあたる家族が役所で被害者の住所確認ができる書類を取得し、被害者の住所を知ることを防ぐ制度です。過干渉型の毒親の場合、子どもが住所を教えていないにもかかわらず、親が一方的に子どもの住民票を取得して住所を突き止め、干渉を続けてくる可能性があります。
このような過干渉を防ぐために、住民票閲覧制限をかけることが効果的であり、住民票閲覧制限をかける際には、警察へ相談した実績などが必要になります。
自分も毒親にならないための4つのポイント
ここまで毒親育ちな人の特徴や毒親への対処法を確認してきましたが、自分が毒親にならないようにすることも大切だと考えられます。毒親にならないためのポイントとしては、主に次の4つが挙げられます。
- 感情的にならない
- 子どもの自主性を尊重する
- 子どもと自分を切り離して考える
- 子どもの成長に合わせて手を放す
各ポイントについて、解説していきます。
1.感情的にならない
感情的にならないことは、毒親にならないための重要なポイントと考えられます。子どもが親のいうことを聞かず、それに対して親もイライラしてしまうこともあり得ます。
しかし、感情のまま怒られた子どもは、「なぜ怒られているのか」をなかなか理解できないかもしれません。そのため、叱る際にはなぜそれがダメなのかを理解させると良いとされます。
また、子どもの言い分をしっかりと聞くのも、おさえておきたいポイントのひとつです。感情のおもむくまま子どもに怒りをぶつけると、子どもは言い返したり本音を話したりするのはいけないと思うようになる可能性があります。
そして、本音や反論は人を怒らせると考えてしまい、それらを隠し周囲に流されるようになってしまうケースもみられます。子どもが人に危害を加えたり、命にかかわったりすること以外は、感情的に怒るのは避けたほうが良いかもしれません。
2.子どもの自主性を尊重する
子どもの自主性を尊重するのも、毒親にならないために心がけたいポイントといえます。毒親は、自分の考えや価値観を子どもに押しつけようとする傾向にあります。
しかし、子どもには子どものやりたいことがあるはずです。また、子どもの自主的な「知りたい」「挑戦してみたい」という欲求は、子どもの成長に必要なこととされます。親が一方的にその欲求を潰そうとすると、子どもは主体性を失ってしまう可能性があります。
一から十まですべてお膳立てをしたり、はじめから限られた選択肢しか与えなかったりすることを避け、子どもの想定外の選択を尊重することも求められるかもしれません。
3.子どもと自分を切り離して考える
毒親にならないためには、子どもと自分を切り離して考えると良いかもしれません。毒親は子どもへの依存度が高く、必要以上に束縛してしまうといった特徴がみられる場合があります。
しかし、親子であっても違う人間です。子どもと自分を切り離し、それぞれ別の人間であることを意識して接することで、毒親化を防げるかもしれません。
4.子どもの成長に合わせて手を放す
子どもの成長に合わせて手を放すことを意識すると、毒親になるのを防げると考えられます。すでにお伝えしてきたとおり、毒親の特徴のひとつとして過保護や過干渉が挙げられます。
過干渉にならないようにするには、意識的に子どもを見守る姿勢を持つと良いかもしれません。また子どもへの不安や心配を、親が自分でコントロールできているかどうかを考えてみるのもひとつの方法です。
毒親で悩む場合はカウンセリングで相談してみよう!
毒親とは「毒になる親」の略称です。大きく「過保護・過干渉タイプ」「放置・無関心タイプ」「支配・管理タイプ」「虐待タイプ」の4タイプに分けられます。いずれのタイプも、子どもに何らかの肉体的、精神的あるいは金銭的に苦痛を与えるといった特徴があるとされます。
親が毒親に当てはまるのではないかと思ったり、毒親との関係に悩んでいたりして、1人で抱え込んでしまっている人もいるかもしれません。身近に相談できる相手がいない場合は、心の専門家であるカウンセラーに相談する方法がおすすめです。
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