自分がやるべきことへの意欲がなくなり、何もしたくなくなる状態を「無気力症候群」と呼びます。特に、入学・転校・就職・転職などでまだ日が浅い20代から30代くらいの人に起きやすいのが無気力症候群です。
勉強や仕事などやるべきことが多く忙しい人は、自分では自覚しないうちに、次第に心身の不調を感じるようになります。その状態が続くことで、やがてやるべきことへの意欲を失くし、やる気が起きなくなる無気力症候群となってしまうのです。
本記事では、無気力症候群とは何かという点と、原因や解消法について詳しく解説しています。無気力症候群は症状が重くなると「うつ病」へ進行するともいわれているだけに、少しでも心当たりがある方は、ぜひ参考にしてください。
何もしたくないと感じる無気力症候群とは
「無気力症候群」は「アパシーシンドローム」と呼ばれ、意欲や自発性が低下したり、感情の起伏が小さくなったりする症状のことです。強いストレスから身を守るための逃避的行動として表れる反応だともいわれています。
やる気がない状態は「うつ病」に似ていますが、無気力症候群とうつ病とは異なります。ここでは、無気力症候群とうつ病との違いについて解説しましょう。
無気力症候群の特徴
「無気力症候群」に見られる症状には、以下のような特徴があります。
- 大型連休後に学校や会社に行くのが苦痛になり、軽いうつ的気分になる「五月病」と同じ類の症状
- 一生懸命に取り組んできた仕事が一段落して、勉強や仕事にやる気を無くす状態
- 興味や関心のあることだけにしか意欲が湧かず、勉強や仕事が手につかない状態
もともと物事に一生懸命取り組む「頑張り屋タイプ」は、無気力症候群になる傾向があるといわれています。無気力症候群は別名「退却神経症」とも呼ばれ、なんらかのきっかけで、それまで努力してきた対象から退却することで、結果として気力がなくなっていく状態です。
うつ病との違い
「うつ病」とは、脳のエネルギーが欠乏してしまった結果、気分が強く落ち込んだり、多くの物事に対してやる気がなくなってしまう病気です。うつ病は不眠や疲労感、体のだるさを伴うことが多く、社会生活に大きな支障をきたしてしまいます。
これに対し無気力症候群は、社会人なら仕事など本来の業務にだけ無気力になり、趣味や遊びには支障がないという点に相違点があります。
したがって無気力症候群は、うつ病のような「病気」ではなく「症候群」として扱われています。無気力症候群では仕事以外の趣味などで「気晴らし」ができやすい点も、うつ病とは異なる特徴といえるでしょう。
しかしながら、無気力症候群からうつ病に進行するケースもあるため、決して軽視できません。
無気力症候群にはどのような症状があるの?
無気力症候群になると現れる症状には、以下のようなものがあります。
- 感情の起伏の幅が小さくなる
勉強や仕事での達成感や高揚感をあまり感じなくなります。
- 自発性に乏しくなる
周りに自分の意見を述べたり、自分なりに行動するなどの積極性が薄れます。
- やるべきことへの意欲が欠乏する
学校や会社での毎日にマンネリを感じて、勉強や仕事に望む意欲的な姿勢が乏しくなります。
- 自己中心的になる
協調性に乏しくなり、自分のことだけ考えて他人には無関心になっていきます。
- 身体の調子が悪くなる
頭痛・腹痛・身体のだるさ・食欲不振など身体に不調を感じるようになります。
- 勉強や仕事に集中できなくなる
勉強や大事な仕事をしていても、すぐに邪念が入り、集中力と思考力が低下します。
無気力症候群になる主な4つの原因
無気力症候群になるには4つの主な原因があるとされています。身体に不調があるときは、なんらかの原因があるものです。
体調不良を放置しておくと、無気力症候群となる場合があることを、現代人は肝に銘じておくべきでしょう。以下に挙げた「ストレス」「環境の変化」「肉体的な疲労」「燃え尽き症候群」という4つの原因について、それぞれの症状を詳しく解説します。
1.ストレス
学校や会社では、人々との人間関係を良好に保つ必要があります。ところが、性格や考え方の違いによりうまくコミュニケーションができなくなることもしばしばです。
人間関係以外でも、学校での成績や会社でのノルマなどにおけるプレッシャーにより、心身に疲労を蓄積してしまうケースがあります。これらの状況を「ストレスがたまる」と表現し、過度のストレスにより自律神経の乱れが生じるのです。
自律神経の乱れによって、心身にいろいろな不具合が発生します。特に精神が不安定になることで、やる気が無くなり、無気力症候群を引き起こす原因となるのです。人間関係の悩みが生じている人は、そのまま悩み続けると無気力症候群に陥ってしまうことを自覚しておく必要があるでしょう。
2.環境の変化
入学・進級・転校・就職・転勤・転職・転居など、日常生活における周辺環境の変化により、勉強や仕事への意欲を失っていくことがあります。新しい環境にうまく適応できず、やる気が起きないことで、結果的に無気力症候群となってしまうのです。
入学・昇進・結婚など、本来喜ばしい環境の変化であっても、それによって生活のリズムが乱れることで無気力症候群となるケースもあります。すなわち、環境の変化に精神が適用できずに「心が疲労している」状態といえるでしょう。
環境が変わると、張り切り過ぎて、それまで順調だった日常生活のルーティンが一変してしまうこともあります。環境の変化と共に生活様式を無理に変えてしまわず、徐々に心身を慣らしていくことが重要でしょう。
3.肉体的な疲労
勉強や仕事での多忙な毎日に加えて、同僚や友人との付き合いなどで遅い帰宅が続くと睡眠不足になりがちで、次第に肉艇的な疲労が身体に蓄積されていきます。
勉強や仕事に集中していると、肉体疲労には気付かず、次第に無気力症候群となるケースがありえます。多忙で睡眠時間が短い人は、仮に疲労感を感じなくても「無気力症候群の予備軍」であることを自覚しておくことが大切でしょう。
4.燃え尽き症候群
勉強での過密スケジュールや重要な仕事が一段落ついた際に無気力症候群となるケースもあります。それまで物事に一生懸命取り組んでいた人が、一旦区切りがついた際に陥りやすいいわゆる「燃え尽き症候群」です。
毎日、勉強や仕事に集中していた人が、一旦解放されることで突然無気力となり燃え尽き症候群となると、すっかりやる気を失くしてしまいます。燃え尽き症候群になるのは、それまでの勉強や仕事で精根を使い果たしていた証拠ともいえるでしょう。
無気力症候群になった時に試してみたい解消法
学生や社会人が無気力症候群となった場合には、少しでも早くその状態から脱したいと感じる人も多いと考えられます。特に社会人なら、誰もが無気力症候群となる可能性があるだけに、無気力症候群の解消法を事前に知っておくことも重要です。
無気力症候群から脱却するために、特に有効と思われる4つの解消法を以下に紹介し、その内容を解説します。
生活習慣の改善
「健康な身体は、規則正しい生活習慣によって得られる」という原則があります。すなわち、生活習慣が乱れると心身が不調をきたし、それが無気力症候群の原因となる可能性があるのです。
健康的な生活習慣で重要なポイントとなるのは、身体によい食事と充分な睡眠時間です。起床と就寝と食事時間を決め、健康的な食事を摂ることが生活習慣の改善につながります。
人付き合いで、どうしても守れない日もあるかもしれませんが、それを続けることなく、翌日には正常な生活に戻すという意識が何より大切です。生活習慣の乱れは、無気力症候群の原因となるだけでなく疾病の原因となる可能性があります。
心と身体の健康のために、毎日の生活習慣を見直し、乱れている点があれば改善するという意識を強く持ちましょう。
適度な運動
無気力症候群の大きな原因とされる過度のストレスが無くなることで、無気力症候群が解消されるかもしれません。そして、ストレス解消には適度な運動が効果的です。
適度な運動により、脳内で身体に良いホルモンが分泌され、交感神経が優位になります。これによって、精神が安定し前向きで積極的な気持ちになり、ポジティブな気持ちが湧きあがりやすくなることでしょう。
運動が苦手な人は、軽く走るジョギングでもいいですし、アスレチック・パークなど遊びの要素を取り入れた運動も効果的です。家に閉じこもって悩むよりも、とりあえず外に出て身体を動かすことで解決するきっかけが得られるかもしれません。
心の整理
無気力症候群には、原因が一つだけではなく、複数の要因が重なって起きることもあります。そのため、無気力症候群になった当人が、その原因を追求することが解消の第一歩になるといえるでしょう。
原因を突き止めるには、一度気持ちを落ち着けて、自分の心の整理をしてみることが大切です。過去を振り返りながら、仕事や私生活で思い当たることがないかどうか、自分自身の「棚卸し」をしてみましょう。
それでも思い当たる節がない場合は、家族や友人、会社の同僚や上司などに相談してみるのも良い方法です。自分では気付いていないことでも、身近にいる人なら状況を把握しているかもしれません。
心の整理をすることで、無気力症候群になった原因が判明し、周りの人々に相談することで、良い解消法が見つかるかもしれません。特に、仕事がオーバーワーク気味だった人にとって、一度立ち止まって、心の整理をすることは有効でしょう。
カウンセリング
無気力症候群は、症状が進行することでうつ病などの精神疾患になることもあります。しかしながら、自分ひとりでは無気力症候群になった原因がわからず、いろいろな対策を講じても、一向に改善しないケースもあるかもしれません。
そのような場合には相談経験豊富な心の専門家であるカウンセラーに相談することも効果的です。ひとりで悩まず、ときには第三者の力を借りることも大切です。
何もしたくないと感じたらカウンセリングを受けてみよう!
本記事で解説したように、無気力症候群は、誰もが陥る可能性があります。特に、健康面に支障がなく仕事や勉強に自信がある人にとって、突然やる気がなくなることは通常は考えられないかもしれません。
それだけに、一度無気力症候群になってしまうと、原因と対処法がわからないまま、ひとりで悩んでいる内に状態が悪化してしまうこともあります。最悪のケースでは、うつ病などの精神疾患になる可能性もあると言われています。
無気力症候群のことを深く理解し、その原因や解消法を知っておくことで、危険のサインを見逃さずに回避できます。そして、無気力症候群だと感じたりやる気が起きずに悩んでいる時は、経験豊富なカウンセラーに相談することで、悪化を防いだり悩みを解決することにつながります。
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