機能不全家族で育った人の特徴とは?アダルトチルドレンのタイプを詳しく解説

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機能不全家族とは、適切な家族の役割が果たされず、関係性に問題がある家族のことです。主な特徴として、過干渉と無関心の差が激しかったり、共依存関係にあったりなどが挙げられます。

本記事では、機能不全家族とはどのような状態なのか、その特徴を解説します。

機能不全家族とは?

機能不全家族とは?

「機能不全家族」とは、家族がそれぞれの役割を果たさず、ストレスが日常的に存在している家族状態のことを言います。

このような家族状態では、さまざまな問題が生じる場合があります。例えば、虐待や育児放棄(ネグレクト)。そのほかにも家庭内での共依存や家族間の不和など様々な問題が起こりうる可能性があります。

また機能不全家族の中で育つと、アダルトチルドレンが形成されやすいといわれています。アダルトチルドレン(Adult Children)とは子どもの頃に親や家族との関係の中で負ったトラウマ(心的外傷)などが原因で、現在の生きづらさや人格形成への影響を感じている状態を指します。

機能不全家族では親への信頼や家庭内の安心感など、子どもの頃に必要とされる要素を得ることなくトラウマを抱えたまま大人になってしまうケースがあります。その結果、アダルトチルドレンが誕生してしまう場合があります。

機能不全家族の7つの特徴

機能不全家族の7つの特徴

機能不全家族の特徴は、以下の7つが挙げられます。

  • 過干渉と無関心の差が激しい
  • 共依存関係にある
  • 父親・母親が自分の役割を放棄している
  • 兄弟姉妹や同年代の子どもと比較する
  • 愛情が条件付き
  • 物理的・精神的暴力や虐待がある
  • 親の機嫌を気にして家庭が緊張状態にある

本章では機能不全家族の特徴や問題点について解説します。

1.過干渉と無関心の差が激しい

機能不全家族のなかには、親と子どもとの距離感が不適切な場合があります。毒親はその代表例であり、子ども=親の私物と考えてしまうことから、親の意に反する言動をした子どもを「許せない」と感じてしまうケースもあります。そして何がなんでも思い通りにコントロールしようとしてしまうため、子どもは自分の意思で物事を決められなくなってしまうことがあります。

逆に子どもに対して無関心な親もいます。その様は特定のものに飽きる場合と似ており、子どもに対して無関心な態度を取ることがあります。親の無関心な態度は、子どもが愛情を感じられないだけでなく、悪化することで育児放棄(ネグレクト)を引き起こす可能性があります。

2.共依存関係にある

機能不全家族では、親の過干渉によって共依存関係に陥る場合があります。親が過干渉になってしまうことで、子どもは自分で判断することを放棄し、親の言いなりになってしまうことがあります。

一方、子どもは親の意見なしでは何も決めることができなくなってしまい、親は子どもから頼られることで自分の存在意義を感じるため、強い共依存関係ができることもあります。

一見すると、親は子ども思いであり、子どもは素直で従順に見えます。しかしその内情は、子どもに過剰に執着する親と、自分で判断できない子どもである可能性があります。

3.父親・母親が自分の役割を放棄している

機能不全家族の場合、父親もしくは母親がその役割を果たせていない場合があります。

両親どちらかが家にいる時間が極端に短いことで「父親(または母親)」という役割の人が家庭内に存在しない場合です。このようなケースでは、残された父親または母親が、子どもに欠けてしまった一方の役割を押し付けてしまうことがあります。

例えば兄弟の面倒をみる、家事をするといった、親がしていることを子どもに押し付けてしまうため、子どもは「子どもらしく」生活することができない場合があります。

「長男なので将来は大黒柱として頑張ってほしい」と父親のような役割を押し付けてしまったり、「女の子だから家事を手伝ってほしい」と母親のような役割を押し付けたりするケースです。

4.兄弟姉妹や同年代の子どもと比較する

機能不全家族では、親が兄弟姉妹や他の子どもと比較する傾向にあります。

子どもができないことに対して「妹はできるのに、なぜできないの?」というような言葉をかけてしまう場合があります。親にその自覚がない場合でも、これらの発言は子どもたちにストレスを与えてしまうことに繋がってしまう場合があります。

親から常に他の子どもと比べられて育った人は、自分自身の価値を、誰かよりも優れているかどうかでしか判断できなくなってしまうことがあります。

5.愛情が条件付き

機能不全家族では、子どもへの愛情が条件付きの場合があります。

愛情が条件付きとは、親の望んだ条件を満たせないと愛せないというものです。「いい子にしたら抱っこしてあげる」「こんなことする子はウチの子じゃありません」という言動などがそれに当たります。

日常的にこの状態が続いてしまうと、子どもは「親からの愛情を受けなくては」と親の顔色を常にうかがうようになってしまう場合があります。

6.物理的・精神的暴力や虐待がある

暴力や虐待があることも機能不全家族の特徴です。身体的虐待には、殴ったり蹴ったりする行為のほかに、物を壊す、物を投げる、殴るフリをするなどの行為も含まれます。

精神的虐待としては、子どもの外見に対する批判や暴言、存在を無視するといった行為が該当します。また食事や入浴、着替えといった子どもの世話を一切放棄するのも虐待の一形態(ネグレクト)に当たります。世間体を気にして最低限の世話をする一方で、子どもに言葉をかけないなど外部から発見しづらい類の虐待も存在するため、非常に深刻な問題です。

7.親の機嫌を気にして家庭が緊張状態にある

機能不全家族では、常に緊張感を持って過ごしている場合があります。親の気分次第で行動が左右されるため、子どもが混乱してしまうことがあるためです。

昨日は褒められた行動でも、翌日には叱られてしまうような場合もあります。このような状況が長く続いてしまうと、子どもは親から叱られないことだけを気にしてしまい、常に親の顔色を気にする緊張状態に陥ることがあります。

機能不全家族で育ったアダルトチルドレンの特徴

機能不全家族の7つの特徴

機能不全家族で育ったアダルトチルドレンには、以下の5つの特徴が挙げられます。

  • 自分に自信がない
  • 周りの目が気になる
  • 感情のコントロールが苦手
  • 感情の波が激しい
  • 孤独や疎外感を感じやすい

本章では、それぞれの特徴について詳しく解説します。

自分に自信がない

幼少期に親から「お前はドジだ」といった否定的な言葉を浴びせられると、子どもは「私はダメだ」と自信を失ってしまう場合があります。それは、大人になっても「自分には価値がない」と信じ込んでしまう原因となっているかもしれません。

否定的な言葉を浴び続けた子どもは失敗するたびに「やっぱり私はダメなんだ」と、ますます自己評価を下げてしまう傾向にあります。大人になり仕事でも自分の価値が低いと感じてしまうため、自分のキャパシティ以上にがむしゃらに働いてしまうことがあります。

周りの目が気になる

機能不全家族で育った人は、周りの目が気になってしまう傾向があります。幼少期から親に嫌われたくない、制裁を受けたくないというストレスがかかった状態で育ってしまうためです。

大人になっても親や他人を気にしすぎるあまり、心の内を表に出せなくなることがあるかもしれません。人とのコミュニケーションや距離感を理解できず、必要な時に支援を求められなかったり、自分を犠牲にしてしまったりする傾向もあります。これは学校や職場での人間関係に大きく影響する場合もあります。

感情のコントロールが苦手

機能不全家族で育った人は、感情のコントロールが苦手な傾向にあります。幼少期から親の顔色をうかがって過ごすため、自分自身の感情を抑えてしまうことがあるようです。

機能不全家族のなかには、感情を出すと叱られてしまうことがあります。例えば、ピアノを上手に弾けたとしても「その程度で喜んでいるのか」と叱られたり、2位の成績を残しても「どうして1位じゃないんだ」と怒られたりするケースがあります。

こういった環境で育った子どもは感情を表に出してはいけないと感情を押し殺してしまうようになる傾向があり、上手に感情を表現することが苦手な場合があります。

感情の波が激しい

子ども時代に感情を抑えてきた人は、大人になると怒りをコントロールすることが難しい場合があります。これは自分の感情を表現することを避けてきたため、感情の扱い方が分からなくなってしまうことが要因のひとつです。

また先述した通り、感情表現が苦手なケースでは感情の出し方、抑え方の程度がわからない場合があります。そのため、一見するとものすごく怒っていたと思ったら、急に大人しくなったと周囲から思われてしまう傾向にあります。

孤独や疎外感を感じやすい

アダルトチルドレンは、孤独や疎外感を感じやすくなってしまう傾向があります。親の期待に応えることで生き方が制限されていることがあるからです。

自分自身の感情を感じることができなくなった、他人のために生きることが生きがいになってしまった、よい子でいることができずに罪悪感に苦しんでいる場合、その苦悩は強い孤独や疎外感へと繋がっていくことがあります。

子どもの頃に安心できる環境を得られなかったことで、精神的に不安定なまま大人になってしまったことも大きな要因となります。精神が未発達なまま大人になってしまうと、些細なことで孤独感を感じやすくなる場合があります。

アダルトチルドレンの主なタイプ

アダルトチルドレンの主なタイプ

次にアダルトチルドレンは主に以下の6つのタイプに分かれていると言われています。

  • ヒーロー
  • スケープゴート
  • ロスト・ワン
  • ケアテイカー
  • ピエロ
  • イネイブラー

それぞれのタイプの特徴を解説します。

ヒーロー

周囲の大人(両親も含む)から、過度な期待を押し付けられて育ったアダルトチルドレンは「ヒーロータイプ」に該当します。家族の期待を一身に背負って、幼少期から必要以上に頑張ってきたタイプのアダルトチルドレンです。ヒーロータイプのアダルトチルドレンには、以下のような特徴が見られるといわれています。

  • 親をはじめ、周囲の大人からの過度な期待に応えようと、頑張ってきた
  • 未熟な親に育てられたため、親子の役割が逆転していた(子どもが親を支えていた)

ヒーロータイプに該当するアダルトチルドレンは、自己価値を「期待に応える自分」に置いている場合があります。そのため成長してからも、常に高い成果を維持しなければならないと考えてしまうことがあります。

一見、良いことのように感じますが、自分自身はもちろん他者に対しても厳しくなってしまい、絶えず緊張状態に置かれている可能性があります。

スケープゴート

スケープゴートとは「生贄」や「身代わり」という意味です。このタイプに分類されるアダルトチルドレンは、家族や親自身の問題を子どもが原因であるかのように責められて育ったという特徴があります。

スケープゴートタイプは、幼少期から虐待を受けていたり、兄弟・姉妹の中で「ダメな子」とレッテルを貼られたりして、親の「ストレスの捌け口」にされてきた可能性があります。

そのため大人になっても、自分自身に価値を見いだせず、特定のものへの依存に走りやすくなる場合があります。

ロスト・ワン

ロスト・ワンタイプに該当するアダルトチルドレンには、内向的で自己主張をしないといった特徴があります。幼少期より家族の中で見過ごされがちな立場(無関心)で育ってしまった子どもに多い傾向です。

このタイプは、自分自身の存在価値を見いだせず、大きな孤独を感じている場合があります。また自己主張が苦手なことから、自分の感情や思いをうまく表現できず、うつ病などの精神疾患を抱えたりすることもあります。

ケアテイカー

ケアテイカータイプのアダルトチルドレンは、兄弟姉妹の世話を任されたり、子どもでありながら両親の問題に介入し、解決を試みたりする環境下で育った場合があります。常に他者のために動いてきた人がこのタイプに分類されます。

誰かを世話することに存在価値を見いだしてしまうため、他者への献身でしか自分自身を肯定できない場合があります。そのため無意識のうちに、自分を犠牲にするような生き方になってしまう傾向があります。

ピエロ

ピエロタイプは、幼少期から常に笑顔で周囲を和ませ、緊張状態を解消するために、必要以上に明るく振る舞うことを求められてきた人にみられる傾向です。

ピエロタイプは自分の本心や本音(特にネガティブなもの)を、表に出すことに慣れておらず、明るい自分を演じ続けることが常態化しています。その反動として一人になった時に、強い自己否定感を抱えてしまうことがあります。

また他者の顔色を見て先回りし、相手から求められている自分を演じることが癖となっている場合があります。

イネイブラー

イネイブラーに該当するアダルトチルドレンは、問題のある親を支えるために、自己犠牲を強いられてきた人に見られる傾向です。この問題とは親自身が、アルコールやギャンブル依存症であるなどのケースが該当します。

親に尽くし続けて成長したイネイブラーは「偽親」と呼ばれることもあります。ただし「ケアテイカー」と異なるのは、相手に対して過剰に動きすぎて、問題を悪化させてしまうことがある点です。例えば、家事をしない親に代わって家事全般を担当していた子どもなどが該当します。この場合、親は子どもに甘え、ますます家事をしなくなり、状況を悪化させてしまう場合があります。

イネイブラーは幼少期から、相手に尽くすことでその場を収める役割を担ってきました。そのため大人になっても、尽くすことでしか人と繋がれるのが難しいかもしれません。

また絶えず見捨てられるかもしれないという不安を抱えており、過剰な献身的サポートを続けて、相手から離れられなくなるケースも見られます。

アダルトチルドレンで悩む人はカウンセリングを受けてみよう!

アダルトチルドレンで悩む人はカウンセリングを受けてみよう!

機能不全家族の特徴は、過干渉や無関心をはじめ、共依存関係や親の役割放棄、条件付きの愛情、暴力や虐待、親の機嫌を気にする家庭環境にあります。機能不全家庭で育った子どもは、アダルトチルドレンに陥りやすい傾向にあります。

アダルトチルドレンを克服するには、過去のトラウマを見つめ直し、いま抱えている悩みを一つ一つ考えていくことが重要です。

その方法のひとつにカウンセリングがあります。カウンセリングを通して、自分の心を整理していくことも可能です。アダルトチルドレンではないかとお悩みの方は、ぜひカウンセリングを活用してみてください。

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